[特集]授業を見学してきました その2
今年も先生方の授業の現場を見学させていただきました。今回は、今後授業での活用が必至となる生成AIの取り入れ方や、プログラミングの学び方についてレポートします。
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千代田区立九段中等教育学校 市川淳尉先生、須藤祥代先生
九段中等教育学校は、リーディングDXスクールにおいて生成AIパイロット校に指定され、さらにDXハイスクールにも採択されています。同校では、全ての授業の中で生成AIを活用して学びを深める取り組みが行われています。
今回は、2024年11月に行われたリーディングDXスクールの公開授業をレポートします。情報科では、英国大使館とのコラボ授業として、ギリスの多くの学校で行われているサイバーセキュリティのカリキュラムから、マルウェア解析の実習が行われました。また、生物や歴史探究の授業での活用例もご紹介します。
須藤先生と市川先生からは、授業の中で生成AIを安心・安全に使うためのソフト面・ハード面それぞれの取組みをお話しいただきました。
【事例355】生成AIと対話し、手を動かすことで深化する学び ~実機を使ってネットワークを構築する実習
千代田区立九段中等教育学校 市川淳尉先生、須藤祥代先生
小規模ネットワークの構築は、「情報通信ネットワーク」の中で扱うこととされています。どことどこを配線すればよいのか、IPアドレスの割り当てはどうするか、といったことは、作業を通してこそ初めて理解できるものですが、実機を使った実習はちょっとしたことでエラーが発生しやすく、先生の指導もたいへんです。
市川先生のネットワーク構築の授業では、ルータやスイッチングハブなどの実機を使ったネットワークの構築を行いました。先生からの一斉の説明はナシで、生徒は生成AIや検索サイト、機材の説明書を頼りに自分達で手を動かしながら考えていきます。苦労を重ねて、実際につながった時のはじけるような笑顔が印象的な授業でした。
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【事例357】生成AIが広げるプログラミング授業の可能性~生成AIを活用したプログラミング実習:発表
東京都立国立高校 小原格先生
プログラミングの単元の最後に、総仕上げとして自分達でプログラムを作る活動は学んだ内容の応用や定着を図る上でたいへん貴重な活動です。しかし、初学者の子ども達にとって、「やりたいこと」をプログラムの形に落とすのは、たいへんな労力が必要で、思い通りの動きができないことに心が折れてしまう人も少なくないでしょう。
小原先生の授業では、生成AIを活用してべースとなるプログラムを作り、それを改編していくことで作業の負担を減らすとともに、よりよい作品に近づけるための「思考・判断・表現」の部分を充実させることに成功しました。授業の進め方で注意したことや、生徒の振り返りの変化についてもお話しいただいています。
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【事例358】 基本構文を繰り返し学んで定着を図るプログラミング授業
世田谷学園中学校・高等学校 神藤健朗先生
「情報I」の授業で、プログラミングにかけられる時間数は10時間程度と言われます。その中で、初めて学ぶ生徒にアルゴリズムの考え方から基本構造、デバッグ…と様々な手順を一通り学んでも、実際に動かして活用する経験を重ねなければ、なかなか「深い理解」にはつながりません。共通テストの「情報I」でプログラミングは必ず出題されますが、1年生で「情報I」を学んだ後、すっかり間が空いて、いきなり受験対策ということでは、生徒は不安を抱えることになりかねません。
神藤先生のプログラミングの授業は、基本構造が同じで、題材の異なるプログラムを繰り返して作成しながら身に付ける、という進め方で行われます。今回は、「情報I」の中で、前回のプログラミングの授業から2か月以上空けて、発展課題に取り組みました。忘れてしまった! という生徒も、授業を通して様々な気づきを得ることができました。