緊急アンケート
「緊急事態宣言による休校中の生徒の家庭学習のために、どんな活動をしていますか」
「学校での授業の再現」ではなく、「遠隔授業ならでは」を目指して
日出学園高校 武善紀之先生
■休校中の生徒の家庭学習のために実施している活動や課題
[オンラインで行っている活動]
★生徒が利用できるLMS(学習支援システム)
・Google Suite
・Google for Classroom
・Classi
先生自身が動画コンテンツを作成し、生徒に視聴させている
【社会と情報(必修、クラス展開42名×4)】
・毎回行っていた50分の授業を10分以内完結の4~5本の動画に作り変え、YouTubeで配信。
・週2コマの授業である為、講義の視聴40~50分、課題への取り組み50分と考え、配信頻度は週に1回。
・録画は一切編集せず、Zoomのレコーディング機能だけで対応(参加者が自分だけのZoom)。撮影は在宅で行っている。Zoomは書き出しまで行ってくれるため、そのままYouTubeへアップ可能。
・YouTubeのリンクはClassiで共有(Classiの通知不具合に対応し、Google Classroomにも告知のみ掲載)。
・プリントは使わず、教科書だけで完結するように授業を再編(プリンタの無い家庭への配慮と、生徒に“学んだ”感を定着させるため)。また実習も生徒の所有端末はスマホのみという前提で行う。
クラウド上のフォルダーからワークシートやスライドをダウンロードして取り組ませている
【選択情報(30名程度)】PCを所有していない生徒には学園PCを郵送。Webページの制作に取り組ませており、教員のDropboxにスライドやパッケージをzipでアップロードし、生徒はダウンロードして作品制作を開始。最終作品はDropboxにアップロードさせ、途中経過についてはスクリーンショットをClassi経由で提出させる。
Zoomなどのビデオ会議システムを使用して、授業やホームルームを行っている
【選択倫理(6名)】週2コマ、通常通り授業を実施。
【情報科全体】各学年に配信した課題への質問対応として、週1時間Zoomを解放。コミュニケーションの場としても提供。
【学校全体】5/7以降、毎朝HRをZoomで実施(予定)。
また、各教科の授業法についてはオンデマンド型映像授業・双方向型映像授業・課題の配信の中から自由に選択が可能。
ただし、双方向型授業については学校の通常時間割に基づいた時間に配信する(教員間での時間衝突を防ぐ)。
アンケートシステムを使った宿題や小テストを実施している
【社会と情報(必修、クラス展開42名×4)】
動画とリンクする形でClassiにて課題を配信(原則1コマ=50分程度、考えたり解いたりに必要な記述形式の問題。ピクトグラム作成の机上実習なども含む)。収集した課題を添削、また課題内の一言コメント(抜粋)への応答をpdfで次の授業配信時に掲載することで、生徒とのコミュニケーションをはかる。
その他オンラインの活動(授業以外も含む)として実施されていること
「学習クラブ:マルチメディア表現演習」を実施予定。学習クラブは本校が行っている教員による各種課外活動クラブ。昨年度までは、月1回程度放課後にメディアルームで、3DCGの作成などを希望者へ実施してきた。在宅で可能な形へ落とし込み、創作を通じた異学年交流の場としてClassi上に開設する。
[オンライン以外で行っている活動]
【学校全体】始業式、登校日等が全て中止となったため、4月第2週から第3週に掛けて、宅急便で教科書・問題集等を送付。各教科のからの課題についてはClassiで告知した。
■生徒の質問や相談に対応するための手段
・アンケートシステム
・電子メール
・Zoomなどのビデオ会議システム
■生徒の健康観察の方法
・アンケートシステム
■先生がお作りの教材や資料を掲載したサイト
今回の対応に特化したものではありませんが、学園Webページに過去の発表資料等をまとめています。今後、遠隔授業に関する公開可能なコンテンツも掲載予定です。
http://high.hinode.ed.jp/education/hinode_joho.html
また、一部映像と取り組みについて学園ブログで発信しています。
■全国の情報科の先生方へのメッセージ
教科「情報」はコンピュータを学ぶ科目じゃない!と言いながら、いざコンピュータが使えなくなると、すっかり慌ててしまいました。
それでも手探りで色々やっていくうち、幾つか良い面も見えて見えてきました。自分自身の元気づけ、
そして授業改善のために、課題には毎回一言コメント欄を設けています。その中でまず多く目にするのは、
・「10分前後の動画だから見やすいし、飽きない。空き時間で情報が学べてとても良い!」
・「オンライン授業だから聞き逃しても、一度止めたり、聞き直したりできて便利」
といった授業形態に対する好意的な感想です。課題の出来や定着度、深さも普段の50分授業時のものより良いようにすら感じます。
初期には普段学校で培ってきた実習やテクニックが通用せず、授業動画を一本撮るたびに不貞寝していた段階もありましたが、やっぱり形が変わっても、授業は授業、私自身も楽しいです。そして一番楽しい段階は、前述したような生徒からのフィードバッグを目にする段階です。“やらなきゃ“というより、手を変え品を変え、飽きない工夫を色々やってみたくなり、結果として双方にとって良い授業になるのかなという気がしてきます。コメント欄が普段以上に大切だなと思いました。
今は、既存のコンピュータを活用した実習の多くも、ある程度はスマホで可能な形に落とし込めることもわかってきました(ピクトグラムの作成など)。ポジティブに捉えれば、「コンピュータ室で学ぶ“情報科”」→「教室でも学べる“情報科”」→時空間制約から解放され、まさにスマホ片手に「いつでも、どこでも、“情報科”を学べる」環境に近づいたような気がします。これこそ “情報科”の本質っぽい気もするなぁ、と思い、最近は「学校での授業の再現」を追い求めず、「VRならでは」「ARならでは」のように、「遠隔授業ならでは」を目指して、試行錯誤を続けています。
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