事例256
文部科学省 「情報Ⅰ」学習動画 授業、教材研究、自学自習で使えます!(本人談)
神奈川県立横浜翠嵐高校 三井栄慶先生
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「情報I」の動画教材を国の責任で提供・充実させる
今回の発表の概要です。今年11月15日付で、文部科学省から「高等学校情報科に係る指導体制の一層の充実について」(※1)という通知がなされました。この通知の「2.施策パッケージについて」において、文部科学省が授業動画の作成、およびNHK高校講座「情報I」の制作協力を行った趣旨ということが明記されていますが、そこには「情報Ⅰが導入間もない科目であることを踏まえ、教師の研修、授業の一部における放映及び生徒の予習・復習・自学自習等に幅広く活用できる動画教材を国の責任で提供・充実させる」ということが書かれています。
※1 https://www.mext.go.jp/content/20221124-mxt_jogai02-100013301_001.pdf
今回は、ひょんなことから、私と、同じ神奈川県立高校の先生である鎌田先生とで「コンピュータとプログラミング」の授業動画を作成しました。文科省としても、「こんなふうに使ってほしい」という思いはあると思いますが、ここでは実際に動画を撮られた側の立場から、「こんな使いかたもできるんじゃないか」ということを、皆様に宣伝という形でお伝えしたいと思います。
先生だけでなく、生徒も視聴可能! ~3つの使い方の紹介
まず、「学習動画の位置付け」は、国のロードマップでかなり明確になっています。
私たちは、この黄色の枠でくくった部分の「『情報Ⅰ』解説動画」に携わらせていただきました。これは生徒も視聴可能となっているのが最大の特徴で、教員だけではなく、生徒も直接見て学ぶことができるという講座になっています。
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授業の中で使う~問題解決型の授業体験として
活用場面を3つ想定してお話ししたいと思います。
今回の授業動画は、ソフトの操作方法やプログラムの組み方などの、ハウツーものを紹介しているものではありません。問題解決の場面や各テーマに応じて、解決するためにどのようにプログラミングを使っていくか、もしくは、使っていくとどんなことができるようになるのか、という視点で動画が構成されています。
これを授業の場面ごとに適切に使うことにより、授業の中で問題解決型の学習とはどのようなものか、どのような過程を踏んでいったらよいのか、ということを提示する手助けとなると考えています。これにより、結果として授業のレベルアップができるのではないでしょうか。
教材研究で使う~題材をどのように落とし込むかの事例の参考として
次に2つ目の視点として、われわれ教員が教材研究をするときの観点です。
教材研究で一番詰まってしまうのは「題材」、つまりどのようなテーマを題材にするか、ということだと思います。いろいろなテーマがあると思いますが、それを実際に生徒に提示するときに、何をどう教えるかというより、どのように落とし込むのかというところが、難しいところかなと思います。
この動画では、「優れた指導力を有する教師の視点」という形で、「題材」をどのように教材に変換しているのかという細かい流れをそのままたどって紹介しています。これによって、教師の授業力の向上そのものっていうのができるのではないかというふうに考えられています。
生徒が自学自習で使う~動画教材として自分のペースで学べる
3つ目が、教師のハウツーだけでなく、生徒が自学自習で使う、というような使い方です。
今回の文科省の動画は、生徒が自学自習できるような動画構成になっており、作業するタイミングを明示しています。
例えば、「ここでプログラミングしてみましょう」というタイミングでいったん話を止めて、「ここまで作業してください」ということが明確に示されているので、生徒が動画を見ながら自分のペースで学ことが可能です。
また、必要な教材、資料等もYouTubeのリンクに貼ってありますので、これによって生徒の学びに向かう力の向上を図ることができると考えています。
今回、紹介したのは、『コンピューターとプログラミング』の単元の学習動画ですが、今後『データの分析』や『情報デザイン』等の単元も追加され、内容の拡充が図られることになっています。動画のリンクについては、YouTubeのURLを下記に載せておきますので、ぜひご覧いただいて、お使いになれるところがあれば、ぜひ使っていただければと思います。
■「情報I」 学習動画 コンピュータとプログラミング 動画リスト
[質疑応答]
Q.
生徒の自学自習でも使えるということでしたが、三井先生ご自身が、ご自分の授業等でこちらをどのように活用するか、とプランをお持ちでしたら教えていただきたいと思います。
A.
ありがとうございます。実際に、『センサーライトを作ろう!』というmicro:bieの動画を、体験講座に近い形の授業で使ってみました。
最初にいきなり動画を見せて、その後micro:bitのつなぎ方と、端末へのダウンロードの仕方で2、3分。あとは全部自分でやってごらんなさい、といった形で行いましたが、私の顔が出た瞬間に、生徒はけっこう笑って、楽しく取り組んでいたかなと思います。
実際の「情報I」の授業の中でどのように運用するかというところについては、作成者でありながらまだできていませんが、この体験講座のように、ひとまず動画を見せて、あとは生徒に自由にやらせてみるという形式の活動家は、十分に成り立つのではないかと実感しています。
神奈川県情報部会実践事例報告会2022オンライン ポスターセッションより