事例263

情報I・普通の授業風景と授業の反省 教室で1人1台端末の活用を目指して

神奈川県立上鶴間高校 相馬臣彦先生

ご本人提供
ご本人提供

今回は、「ごく普通な『情報I』」の授業についてお話しします。

 

その目的は、日頃の授業や授業の中で苦戦している部分について、あえてご紹介することにより、「こんな感じでもよいのかもしれない」と感じていただいたり、「こうするともっと良くなるよ」といったご指摘を頂いたりしたい。ある意味、反面教師的にご活用いただきたいからです。

 

流れはこのようになります。ぜひあたたかいアドバイスやコメントをよろしくお願いいたします。

 


 

論理ゲートの体験を通して、CPUによる演算のしくみを学ぶ

今回、「普通の授業の風景」としてご紹介するのがこちらです。

 

授業のテーマは「CPUによる演算のしくみ」で、特に論理ゲートについて体験を通して学習してもらおうと考えました。これにあたっては、1人1台端末を活用する授業を行う中で、小さな「できた」「分かった」という経験を盛り込みたいと考え、授業を設計しました。

 


授業の流れです。導入部分では、毎回キーボード練習をして、その後その日のテーマの授業を展開します。

 

その日の授業での目標を確認し、内容の説明をし、「学ばせたいことを、体験を通して」という考えのもと、実際に1人1台端末を活用しながら実習をします。今回はキーボード練習の部分は省略します。

毎回、実体験を通してテーマについて「なるほどこういうことなのか」ということを知ってもらいたいと考えています。最後には授業のまとめを行う、という流れです。

 

今回のテーマ「CPUによる演算のしくみ」の授業計画です。

 

自分でスプレッドシートを使いながら、論理ゲートについて発見してもらいたいと考えました。

 

具体的には、スプレッドシートを用いて真理値表を作成し、完成した真理値表から論理ゲートの動きを考える。ORゲートや、ANDゲートなどの働きを発見してもらうことを目指しました。

 


そこで、スプレッドシートツールを用いて、ANDゲート・ORゲート・NOTゲートの動きについて調査できる教材を作りました。二つの入力値(NOTゲートの場合は一つの入力値)を設定し、ボタンをクリックすると出力値が表示されるようなツールを作りました。

 

出てきた出力値をプリントの真理値表にまとめ、最後に全体を見て動きを確認し、論理式の話につなげようと考えました。

 


 

実際のスプレッドシートツールの動きをご覧ください。

 

しかし、これは非常に単調で、あっという間に終わってしまい、失敗してしまいました。

 

 


 

生徒自身がスプレッドシートツールを作りながら学ぶことに方向転換

そこで、改善のために授業の展開を変えました。

 

こちらからツールを提供し、生徒は動かして調べてまとめる、という流れをやめて、生徒にツール自体から作らせる発想にしました。

 

スプレッドシートは学習済みで、大体の操作はできます。ですから、AND関数、OR関数やNOT関数を使って、真理値表を作ってみるように課題を変えました。ツールを使って学ぶのではなく、ツールを作りながら学ぶという方向性です。

 

生徒には、ChromebookのCPUの内部が3種類の論理ゲートの組み合わせでできている、それらの動きについてスプレッドシートで真理値表を作り、動きを確かめることをやってもらいました。

 


実際の授業の様子をご覧ください。

 

この授業の反省点としては、「楽しかった」とか「分からなかった」だけで終わらないようにするための工夫が必要ではないか、というところです。実習や演習については、「ただ触らせる」だけにならないように、声掛けをしたり、小さなステップを作って様子を見たりしながら進めるように考えてみました。

 


 

さらに、授業のいろいろな場面で小さな発見があるようにと意識してきました。しかし、今回はスプレッドシートを使いながら、「こういうのもできるんだ」とか、「こういうふうにやったら便利だったな」という発見があるように設定できればよかったのですが、そのような場面が少なかったかな、というところが反省です。

 

さらに、できなかったときにできないままにならないように、次につなげられるフォローをしていくために、どのような声掛けをしていくか、という工夫が必要だったということも、反省点として挙げられます。

 

本当に普通の授業ですが、このように取り組みながら、いろいろな工夫をしてきたいと思っています。ぜひとも皆様のアドバイスをいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

 

神奈川県情報部会実践事例報告会 2022 オンライン オンデマンド発表より