事例301

データで見る高校生のコンピュータ活用と意識の変化(2023年度版)

東京都立町田高校 小原格先生

高校生のコンピュータ活用 20年の変化

 

本校では、入学時に生徒のコンピュータ活用学習履歴に関するアンケート調査を過去20年にわたって行っています。今回は、本年度の結果を過去のデータと比較してご紹介するとともに、コンピュータの利用目的や生徒の意識がどのように関連しているかということについて、経年変化とともに読み解いていきたいと思います。

 

 

アンケートは2004年から実施しています。途中で質問を少し変えたりはしていますが、今回20年分を集計してみますと、比較的特徴的なことが見えてきました。

 

まず、「家にパソコンがあるか」という質問です。大体、約8割の生徒は家にパソコンがあります。

2021年、ちょうど新型コロナの辺りで少し下がっていますが、それでも基本的に7割強、8割程度の家庭にはパソコンがあります。ちなみに、ここでは、生徒が本校の1人1台端末として使っているiPadは除く形で答えてもらっています。

 

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「週あたり家でパソコンを何時間使うか」を見ると、2010年頃、今から14~15年前までは、1時間以下とか、1~3時間使っているという人は3割くらい、全く使わないという人が約5%で、全体の6~7割の人が、家でそれなりにパソコンを使っていました。

 

ところが、2011年あたりから、「使わない(持っていない)」という人が顕著に増えています。

 

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スマホの登場でパソコンの役割が取って変わられた→パソコンは「特別な道具」に 

 

これはなぜかというと、こちらの質問「携帯やスマホを持っていますか」に対する回答に明らかです。これを見ると、青線がいわゆる2つ折り携帯(ガラケー)、オレンジの線がスマホですが、2012年頃から急にスマホの所持率が上がって、以降スマホ一色になっていきます。

 

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それとともに、「インターネットに何でアクセスするか」については、2012年頃までは、50%以上がパソコンでアクセスしています。ところが、これがどんどん減って、スマホに逆転されています。

 

要は、スマホでインターネットにアクセスするようになって、今までパソコンでアクセスしていたのが、パソコンを使う必要がなくなってしまったということですね。

 

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それによってどうなったかということですが、「パソコンを使うのが得意か」という質問で、「あまり得意ではない」という生徒が増加傾向となっています。これを見ると、彼らにとってパソコンは特別な道具になってしまったとも言えると考えられます。十何年前までは、インターネットにつなげるマシンはパソコンと認識されていましたが、今はそういう認識ではないのとも言えると思います。

 

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パソコンを利用する目的がこちらです。以前は「ネットで調べ物」というのが多かったですが、今は何でもスマホで調べられてしまうので、これもぐーっと下がってきています。途中、時々ぽこっと上がっているのは、例えばYouTubeが出てきたり、MP3プレーヤーが普及してパソコンからダウンロードすることが多かった頃などが挙げられると思われます。このように、年代とともに生徒のいろいろな傾向が見えるのが特徴的ですね。

 

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今後、小学校でのプログラミング必修化や、中学校でのプログラミング高度化などについても含め、アンケートの内容をさらに検討して生徒の状況を確認していきたいと思います。

 

第16回全国高等学校情報教育研究会全国大会(東京大会) ポスター発表より