事例306

今年度こんな授業をしました2023 ~1人1台端末を活用して実感する情報Iを目指して

神奈川県立上鶴間高校 相馬臣彦先生

ご本人提供
ご本人提供

今回は、「今年度こんな授業をしました2023~1人1台端末を活用して実感する情報Iを目指して」と題して、こちらのスライドの流れでお話ししたいと思います。

 

 

はじめに~「情報I」の役割とは

はじめに、今回の発表の背景です。情報の世界はどんどん発展しており、コンピュータ黎明期を越えて、パソコン、携帯電話、ポケットベル、そしてインターネットと、社会の仕組みや構造を変える様々な技術がたくさん登場しました。近年もクラウドやビッグデータ、AIなど、様々な新しい技術が出てきて、社会は発展し続けていると思います。

 

 

「情報I」で、情報化社会に必要なことを学ぶことで、これから先の未来に向かって、目標もよくわからない中で走っていくのではなく、少しは世の中の周りのことが見えてくる。

 

さらには、実は各教科には例えばN進法や法律の話、メディアリテラシーなど、「情報I」に関わるようなところがあっても、そこでは深く触れられていないところを、「情報Ⅰ」でさらに深くフォローしているのではないかと思っています。

 

ですから、「情報Ⅰ」を勉強することによって、様々な教科で勉強したことをさらに深め、つないでいくことになるのですね。

 

 

このように、身の周りをよく見ながら、さらにこれから生きていく中で重要なこと、つまりビッグデータやクラウドの技術など、知っていて損がないことを学んで、明るい未来に向かって生徒が走っていけるようになってほしい。知識を教えるだけでなく、深い学びにつなげていくというところが、「情報I」の重要なところではなかろうかと思います。

 

情報化社会、Society5.0に向かって必要なことを学び、さらにいろいろなことの気づきを持ってもらって、明るい未来に向けていろいろ取り組めるようになるということが、「情報Ⅰ」の役割ではないかと考えています。

 

 

今年度のテーマ~1人1第端末を活用して「体験する情報I」の授業を作る

 

その中で、今年度、私は、1人1台端末をツールとして活用しながら、学んだ知識を体験を通して活用し、自分のものにしてさらに深めていくという授業の展開をしていこうと考えました。

 

そのために、まずは知識を学び、学んだことを活用する体験を通して自分のものにする「体験する情報Ⅰ」という授業を目指すというテーマを設定して、授業を行ってまいりました。

 

 

昨年度の全高情研2022のオンデマンド発表でもお話ししましたが、実教出版から出ている「情報科教育法-これからの情報科教育-」(※)の中で、「主体的・対話的で深い学び」について、一斉学習・個別学習・協働学習の3つの視点が重要である、という指摘がありました。このことを踏まえて、私は昨年度からこの3つのステップを取り入れて授業を設計しています。

 

https://www.jikkyo.co.jp/book/detail/21530024

 

最初に一斉授業で基本的な知識を習得する。そして次の段階で端末を用いた個人の活動を行い、3段階目として教え合うグループワーク、つまり協働学習を行っています。

 

ここからは、具体的な実践をご紹介します。今日ご紹介するものは、「情報のデジタル化」の授業です。

 

 

「情報のデジタル化」を一斉学習・個別学習・協働学習の3ステップで学ぶ

 

まずステップ1では、基本的な知識を学ぶために、一斉授業でプリント学習をしました。

 

次にステップ2では、学んだ知識を活用するということで、1人1台端末を使った個人の活動として0・1で画像データを作る、という実習を行いました。

 

そして、ステップ3では、作った作品を共有しながら、協働学習でまとめを行いました。

 

 

具体的な授業の内容です。ステップ1のプリント学習では、こちらのスライドのようなブリントを使いました。

 

プリントは、1つの章を前半と後半の2冊に分けた冊子の形で行いました。この内容を一斉で学習し、基本的な内容を確認します。

 

※クリックすると拡大します。

 

次にステップ2では、実習を通してステップ1で学んだ内容を実感してもらいます。今回は、「上鶴間高校版【データから画像を作るツール】」を使って実習を使いました。

 

こちらは、現在神奈川県立橋本高校に勤務されている照内康成先生の、RGBのそれぞれ階調を設定してピクセルアートを作る、という教材に着想を得て、「データから画像を作るツール」ということで、6bitのデータを各ドットに設定してピクセルアートを作るという教材を作ってみました。

 

※クリックすると拡大します。

 

そしてステップ3では、作品をGoogle Classroomで共有し、コメント機能を使ってコメントを共有するということを行いました。

 

※クリックすると拡大します。

 

生徒による授業アンケートで、はっと気づかされる回答がありました。「毎回の授業の単元の題について考えながら授業を聞くようにしています。また、毎回の振り返りアンケートでも同様に、生活に絡ませながら考えるようにしています」ということです。

 

「体験する情報Ⅰ」ということで、その技術に触れることで、生徒に「なるほどね」と感じてもらおうと考えてきましたが、さらに生徒の身の周り、もしくはこれから生徒が出会うであろう事柄と結びつけて、「こういうこともあるんだね。こういうことにも関連しているんだよ」ということに触れていく。そういった結びつきを意識しながら、授業の中で扱ったり、テーマとして取り上げたりする必要があったな、ということに気付かされました。

 

 

まとめ~来年度は「身近にある情報I」をテーマに

 

今回の実践を通して、来年度は「身近にある情報Ⅰ」をテーマに取り上げたいというところが課題として見つかりました。

 

学んだ知識を「体験を通して学ぶ」ことに加えて、「身近な事柄と情報Ⅰの結びつき」を意識しながら、それらをテーマに授業を展開していきたいと考えています。

 

今年度は、このようなことを考えながら授業を行いました。新しいことをお知らせするというわけではなく、「何を考えて授業をしてきたか」ということについてご紹介したことになります。

 

 

私の授業の取り組みなどは、ポートフォリオサイトがありますので、よろしければご覧ください。また、最近はなかなか更新しておりませんが、YouTubeチャンネルもございますので、こちらもご覧いただけたらと思います。

 

神奈川県情報部会実践事例報告会2023オンライン オンデマンド発表より