事例359
情報科、文化祭デビュー
大阪府立夕陽丘高校 勝山衿佳先生
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「情報科、文化祭デビュー」というテーマでお話しします。
「情報科」という教科として、文化祭に初めて出展しました。実践の概要としましては、授業でのプログラミングの課題制作物を活用したポスター展示と、ゲームイベントを企画したら大繁盛しました、という内容です。
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プログラミングに興味のある生徒同士の交流の場を作ってみた
この企画の発端です。
今年度、プログラミングに興味のある生徒が自由に参加する「夕陽プログラミングClassroom」を作りました。このclassroomのメンバーたちは、授業で作成したプログラムを自己紹介がてらに公開したり、それに対してコメントしたり、という、ゆるい掲示板のような使い方をしています。
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そろそろclassroomへの投稿も減って来て寂しくなってきた頃、熱心なメンバーから「自作ゲームを夏休みに頑張って完成させるので、夕陽プログラミングclassroomのメンバーで文化祭に出展したい」という要望がありました。
これは面白い提案だと思い、他のメンバーが「情報」の授業で作ったプログラムも一緒に公開すれば、大きなイベントにできるんじゃないかと思い、文化祭担当の先生と相談して、出展させていただけることになりました。
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準備はできるだけシンプル、かつ手間をかけずに
文化祭までの準備は、ほぼ数ステップで完了しました。
まず、Classroom上で文化祭に出展したいメンバーを募集しました。その後夏休みに展示用のポスターを各自で作成して、文化祭直前に大判プリンタで印刷し、展示しました。文化祭当日は、生徒も教員もいろいろな仕事があるので、業務シフトは前日に決定しました。
まだプログラミングの授業を受けていない1年生メンバーについては、自身の作品の出展はせず、イベント運営に力を尽くしてくれました。
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展示ポスターについては、Classroomの課題配信機能を使ってGoogleスライドのテンプレートを配信し、各自に作成してもらうということにしました。
3年生の生徒から「出展したいけれど、ポスター作成の時間がない」という申し出があったので、当該生徒たちのポスターについては、教員側で、その生徒が1年生の時に「情報」の授業で作成していた「振り返りシート」から、プログラムの説明や苦労した点を書いた文章をそのままコピペして完成という形にしました。
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イベント会場の内装を紹介します。
LAN教室のPCにゲームのプログラムを表示させて、各ゲームの横にそれぞれの展示ポスターを貼りました。教室の壁面には、全ゲームの紹介ポスターを貼り、この企画の提案者である生徒の自作ゲームの体験エリアも設置しました。
担当教員も、「本校の情報科の紹介」として、情報科で行っている授業の内容をポスターにして展示しました。
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当日の運営方法です。本校の文化祭は2日間ですが、両日とも午前・午後の各1時間のみ開室しました。それ以外の時間は、教室は施錠して、廊下展示のポスターを見ていただきました。これでも十分企画として成立しました。
教室を開けている間は、Classroomのメンバーに来てもらって、お客さんの対応やゲームの説明をしてもらいました。これはけっこう繁盛しました。
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特別な準備をしなくても、様々な形の展示が可能。情報科の授業の紹介にも大きな効果
文化祭デビューを終えての感想です。意外にも親子でのご来場が多く、小学生以下の子どもたちにも人気のイベントになりました。地域の皆様に高校の「情報」の授業に関心を持っていただくことができ、情報科の紹介の場にもなったのがよかったと思います。
また、この「夕陽プログラミングClassroom」のメンバーは、ふだんはオンラインでやりとりしているので、この文化祭が、お互いに初顔合わせの場となりました。参加したメンバーは、「来年もやりたいです!」と笑顔を見せてくれました。
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本校にコンピュータ系の部活はありませんので、「教科で出展する」ということに挑戦しましたが、いちばんよかったのは、「文化祭のためにわざわざ大きな作品を用意する」という準備が不要だったことです。1年生の「情報I」の授業で作った制作物がすでに存在しているので、それをそのまま展示すればOKでした。
展示対象としては、「情報デザイン」の単元で作成したポスターやピクトグラム、動画が考えられます。今回のようなプログラミングでの制作物であれば、実際にコンピュータ上で来場者の方にプログラムを体験していただくイベントにすることも可能です。そして何より、今回の文化祭が情報系に興味のある生徒たちの活躍の場となったことが嬉しかったです。
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神奈川県情報部会実践事例報告会2024オンライン オンデマンド発表より