事例360

情報科の先生に期待することベストテン

神奈川県立上鶴間高校校長 柴田功先生

今日は、「情報科の先生に期待することベストテン」をランキング形式でお話しします。

 

早速第10位から行きましょう。

 

10位は、「そのデータ 生徒は興味 持っているか」。生徒にとって切実で身近なデータを、情報の授業で使っているでしょうか、です。

 

生徒が全く興味を持てないようなデータで、ただグラフを作ったり、数値をいじったりするだけで、身近な問題解決につながらないような授業に出会うことがあります。ぜひ生徒にとって身近なデータを使ってほしいと思います。

 

 

第9位が、「プログラミング 試行錯誤 テイクオフ」です。

 

プログラミングの授業にも様々なやり方があると思いますが、いわゆる「写経」と言われる、ソースコードを言われたとおりに写す授業や、コードの穴埋めをさせるだけの授業では、本当の意味での情報活用能力やプログラミング能力を付けることはできないと思います。

 

ぜひいろいろ試行錯誤して、最終的には自分なりのテイクオフがきることを目指してほしいと思っています。

 

 

そして第8位が、「ラスト5分 そこが重要 振り返り」です。

 

情報科の授業に限らず、最後の振り返りが大事です。チャイムが鳴ったらそこで終わり、という授業をしていないでしょうか。毎時間の最後に、その日学んだことの振り返りをすることが重要です。ぜひこういった授業を目指していただきたいと思います。

 

 

第7位は「グループで 発表してから 提出ね」。

 

グループで行った活動については、相互評価したり、改善したりしてから提出しましょう、ということです。

 

たまにですが、できたものを先生に提出して終わり、という授業を見かけますが、せっかく何かを作ったのであれば、仲間同士で発表して、相互評価をして、できればそこでもらった意見を取り入れて改善してから提出してほしいと思います。

 

 

続いて第6位は「情報I 共通テストのための科目じゃない」。

 

問題集をやるばかりでは、情報活用能力は育めません。

 

今、いろいろなセミナーで「共通テストのための『情報I』の授業作り」などといったタイトルを見かけますが、もともとの「情報I」は、情報活用能力を育むものであって、共通テストで点を取るための科目ではありません。

 

もともとの「情報I」の目標にしっかり対応していれば、「情報I」の点も取れるはずですので、問題集ばかりの授業にならないでほしいと思います。

 

 

そして第5位が「交流は 授業づくりの 問題解決」です。

 

これは、私がもう何年も申し上げている五七五です。情報科先生は各学校に一人しかいないことが多いですが、一人で悩んでいる場合ではありません。

 

ぜひこういったセミナーや交流会に参加して、他の人の授業を知って、見て、そしてご自分の授業作りに活かす、ということを積極的に行ってほしいと思います。

 

 

第4位が、「成果物 ポートフォリオに まとめよう」。

 

これは、学習過程を整理して、クラウド上に公開する、ということを目指した授業をしていただきたい、ということです。

 

学習過程には、ラフスケッチやプロトタイプ、あるいはリハーサル前の段階など、完成前にもいろいろな段階の成果物があります。これらをすべてクラウド上に蓄積し、整理するということです。できれば、ご自分の授業を学校内にとどめるのでなく、全世界に情報発信するつもりで行ってほしいと思います。

 

 

さあ、いよいよ第3位です。

 

「生成AI 使うの前提 情報科」。情報科が生成AIを使わないでどうする、ということですね。

 

学習指導要領は平成30年に公示されたので、その頃は生成AIがこんなに急速に身近なものになることは想像できなかった、ということはあるかもしれません。しかし、そこは我々情報科の教員が、授業をやりながら。今の時代に合わせてアレンジしていくことが必要になってくると思います。生成AIと対話をしながら思考を深めていくような授業をしてほしいと思います。

 

それによって、効率よくデータを扱うことができたり、プログラミングのバグを見つけたりすることができます。様々な使い方ができますので、ますは使うことが前提です。まだ使えない環境であれば、ぜひ改善しましょう。子ども達が世界から遅れてしまわないように、取り組んでいただきたいと思います。

 

 

そして第2位が「GIGA端末 情報科でも 使おうよ」。

 

情報科がGIGAスクールの推進役になってほしい、ということです。

 

「情報」の授業はパソコン教室でしかやらない、という方もいらっしゃいますが、一方で、GIGA端末が入ったことで、パソコン教室を取り上げられて、なくなってしまった、という学校もあるかと思います。

 

GIGA端末でも情報科の授業を行うことはできますし、情報科でGIGA端末を使うことで、他の教科での活用も進みます。ぜひパソコン教室を飛び出して、クラウドを活用して情報科の授業を行ってほしいと思います。

 

 

そしていよいよ第1位が「情報科 活動なくては 学びなし」です。

 

情報科の授業は、生徒同士が話し合ったり、。発表したり、相互評価をしたり、試行錯誤をしたりすること。これが本当の情報活用能力につながるわけです。座学だけ、問題集の問題を解くだけ、ではない。「活動なくては 学びなし」ということをぜひ覚えておいていただきたいと思います。

 

長年情報科に携わってきて、いろいろな思いがあります。私から先生方へのメッセージとして、10個、お話ししました。

 

神奈川県情報部会実践事例報告会2024オンライン オンデマンド発表より