事例362
3年次における「共通テスト対策」だけじゃない授業の実践例
富山県立高岡高校 多賀誠志先生
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本日は、3年次における共通テスト対策だけではない「情報」の実践事例についてお話しします。
まず高岡高校のご紹介です。明治31年、富山県高岡尋常中学校として開校しました。今年で創立126周年を迎えた伝統校です。
従来、普通科・理数科が設置されていましたが、平成23年に理数科を廃止して、現在の普通科と探究科学科(理数科学科・人文社会科学科)の構成になりました。普通科が4クラス160名、探究科学科が2クラス80名の1学年240人で、普通科系の高校としては、富山県内最大規模の学校です。
令和6年度には、文部科学省のDXハイスクールに採択されています。
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生徒は、ほぼ全員が4年制大学に進学します。中でも国公立大学への進学を希望する生徒が多いのが特徴です。一般選抜でチャレンジする生徒が大半で、共通テストは、ほぼ全員がフルスペックで受験しています。今春の卒業生の進路は、スライドの右上に示したとおりです。
さらに部活動においても、全国高校総体や全国高校総合文化祭に、多くの生徒が出場を果たしています。
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3年次に情報科の演習の授業を置くために…
本校での情報科のカリキュラムについてご説明します。
旧教育課程の一昨年までは、探究科学科は2年次に「課題研究」を行っていましたので、そのサポート的な立場で、1年次に「社会と情報」を開講して実習を行い、普通科は2年次に文系・理系で科目を変えて行っていました。
現在の教育課程になって、他の教科との履修年次の調整や共通テストが導入されたこともあり、全学科が2年次で「情報I」を履修しています。
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3年次についても、今年から文系は1単位、理系は他教科融合の形で0.5単位の授業を開講しました。
これは、共通テスト導入に伴って、先生方からも「3年次に空白があるのは非常に不安だ」という声が上がりましたので、何とか3年次に1単位でも演習の授業ができないか、ということで、いろいろ工夫して時間を捻出して、授業を実施することにしたものです。
具体的には、文系は、従来理科の基礎科目2科目をそれぞれ2単位で実施していたものを、2科目まとめて学校設定科目の「理科研究」3単位として、「情報研究」1単位を設置しました。
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今年度の文系の「情報研究」は、昨年授業を担当していた兼務の先生に、引き続き担当していただいています。
1学期には「数値表現の分野でよくわからなかったところを後輩に説明できるようにポスターを作成しよう」、2学期には「RPGの戦闘シーンをPythonで考えよう」など、「受験対策だけではない」授業も実践されています。
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理系は英語科と連携、英語プレゼンテーション動画を制作
理系は英語コミュニケーションⅢを4単位で実施していたところを3単位にして、英語と情報の連携型の学校設定科目「SG(Super Global)情報」1単位を設置しました。
以前に本校がスーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定されていた際に、当時の人文社会学科では、学校設定科目「SG人文ゼミ」で、英語によるプレゼンテーションやディベート活動などを熱心に行っていました。今回はそのノウハウを生かして、英語と「情報」が連携することになりました。
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今年度の「SG情報」についてご紹介します。
もともとのこの科目の導入の経緯が、共通テストを意識したものであったため、さすがに1年間を通して「共通テスト対策ではない」授業をすることはできないので、1学期中間考査までは英語と「情報」の連携した授業を行い、それ以降はそれぞれの教科で、情報技術を活用した授業を展開しました。
本校で使っている「英語コミュニケーションⅢ」の教科書に、英語によるプレゼンテーションを扱っている部分があったので、その部分を英語科と情報科が協力して、環境問題について発信する動画を制作する、という活動を行いました。
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こちらは、英語科が作成して生徒に配布したプリントから抜粋したものです。
英語科が主体となって、ブレインストーミング、情報収集、考察をワークシートを用いて行い、情報科はその考察をCANVAのスライドとしてまとめ、顔出しのプレゼンテーション動画を作成しました。
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成果物については、英語科はワークシートを、情報科ではCANVAで作成したプレゼンテーションをClassroomで提出してもらいました。これはプレゼンテーションそのものの提出ではなく、リンクを提出させました。
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そしてクラスごとのリンク集を作成し、生徒や教職員に公開しました
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成績の評価は、情報分野は期末考査を実施し、英語分野は英語コミュニケーションⅢの考査と活動を評価材料としました。
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他教科との連携を通して授業内容の充実につなげることに
以上が、今年実施した「SG情報」の実践です。
2年次の「情報」の授業の中だけでは、なかなか本格的なプレゼンテーションまで踏み込めなかったのですが、今回英語科と連携することにより、生徒たちも満足できるプレゼンテーションを経験させることができたかな、と感じています。
来年度以降も、英語科に限らず他教科や、総合的な探究の時間との連携を図りながら、よりよい情報の授業を展開していきたいと考えています。
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神奈川県情報部会実践事例報告会2024オンライン オンデマンド発表より