事例373
情報Ⅰのふりかえりの歌
千葉県立船橋啓明高校 谷川佳隆先生
生成AIの活用場面を見せる×授業のふりかえり→歌を作ってみよう!

今回は「情報Ⅰのふりかえりの歌」ということでお話しします。
まず、歌を作った背景です。
生成AIが世の中に出てきて急激に発達していく中、「情報」を担当している私として、1年間どうやって授業をしたらよいかを考えるようになりました。
授業で生成AIを活用する場面を設けることについては、本校では生徒が生成AIを使うシーンはまだできていませんが、まずは私の方で「ChatGPTに聞いたら、こんなふうになったよ」ということを見せるようにしました。
また、楽しく生成AIを活用できないかな、ということを考えていたのですが、ゴールデンウィーク頃に「授業の中のふりかえりで生成AIを活用できたらいいな」ということを思い立って、各授業のふりかえりを生成AIで歌にしてみました。

ChatGPTは要約が得意なので、授業で使っている私のオリジナルのプリントを歌詞の形に要約しました。
次に、歌詞になったものをSuno(※1)に入れて曲を作らせました。そして何曲か作らせてみた中から、気に入ったものを選んで授業の最後のふりかえりの時間に流す、ということにしました。


全分野で43曲、試聴してみてください
タイトルと、歌の紹介です。
まず、「情報Ⅰの目標」を、そのままSunoに入れて曲を作ってみました。また、1学期にタイピングを行っているときに何かBGMがあるといいなと思って、タイピングの歌を2曲作りました。

「(1)情報社会の問題解決」では、、『情報とは何か』から『情報技術の発展の光と影』まで11曲、作りました。その中から『セキュリティを守れ』という曲をお聴きください。

その中から『セキュリティを守れ』という曲をお聴きください。
→https://suno.com/song/2c17188c-2843-4163-9ceb-17af829bf4f0
「1-8 セキュリティを守れ」の歌詞はこちらです。

「(2)コミュニケーションとデザイン」では、『アナログとデジタル』から『プレゼンテーション』まで11曲、作りました。


「(3)コンピュータとプログラミング」は、『論理回路』から『シミュレーション』まで、9曲作りました。


「(4)ネットワークとデータの活用」では、『コンピュータネットワーク』から『データベースとデータ種類と尺度水準』まで、全9曲公開しています。


言い間違いもそのまま残すことで生成AIの弱点も理解する
歌を作るうえで注意したこととしては、最初のうちはいきなり、歌詞から始めてしまったので、イントロに曲のタイトルを入れるようにしました。
また、実際に聴いていただいて、「あれ?読みがおかしい」と気付かれた方も多いと思いますが、AIは多少、読み間違いします。それについては、「AIが作るとこうなることもあるよ」ということを知ってもらうために、そのまま残して公開しています。
曲は長くても2分以内にして、時間があれば、何回もループできるようにしました。曲調については、最初は「Japanese Rock」をプロンプトに入れて作っていましたが、途中からいろいろなパターンを試してみました。プロンプト自体は、「○○とclear voice」のような簡単なものですが、なるべく生徒が歌詞を聞き取れるような曲を採用しました。

最初は生徒も、「おおっ!」と言う感じで聴きますが、そのうちに歌が流れている間生徒いろいろ私語を始めるようになりました。この時間は、生徒がふりかえりをしている時間でもあるため、私はそれも大切な学びの一環だと考えています。
現在、8クラスを担当しているので、最低8回は聴くことになります。時々時間がなくて曲を流せなかったり、流し忘れたりすることもありますが、この歌を授業で何回も聞いているので、私自身用語がメロディーで浮かぶようになりました。
ただ、これは人工音声なので、やや聞き取りにくい部分もあります。もう少し歌詞をしっかり聞き取れるような曲に直していく必要があるかと思います。
「せっかくなら、ミュージックビデオにしてアップロードできたら」という欲も出ましたが、今年は取りあえず「情報Ⅰ」の内容を全て網羅することが目標でしたので、来年以降少しずつアップデートできたらと思います。
Sunoで作った曲が著作権で引っ掛からないかが心配でしたが、全曲YouTubeに上げたところ大丈夫でしたので、今のところはこのまま公開しても問題ないかなと思います。ちなみに、SunoもChatGPTもちゃんと課金しています。
以上、「情報Ⅰのふりかえりの歌」ということで、歌ができるまで、タイトルと歌の紹介、歌を作ったふりかえりについてお話ししました。

神奈川県情報部会実践事例報告会2024オンライン オンデマンド発表より