New Education Expo2019
【パネルディスカッション】
これからの「探究」をデザインする学校へ ~変革の時代に創造する生徒を育てるために~
桐蔭学園中学校、高等学校・中等教育学校探究科主任 登本洋子先生
桐蔭学園の教育理念「自ら考え判断し行動できる力」
桐蔭学園は横浜市の北部にあり、幼稚部から大学院まで、全て一つのキャンパスにあります。桐蔭学園では、変化の激しいこれからの時代を生きていくために生徒に「自ら考え判断し行動できる」よう育ってほしいという理念の下、「アクティブラーニング」「探究」「キャリア」を学びの3本柱として教育を展開しています。探究の授業を「未来への扉(みらとび)」と名付け、総合的な学習の時間に行っています。
「みらとび」のデザイン
桐蔭学園高等学校1~2年、中等教育学校後期課程4~5年においては、週1時間の授業として「みらとび」を行っています。
1学期は、ホームルーム単位で「探究」とは何なのか共通スキルを学びます。具体的には、探究ガイダンス、探究のプロセスの疑似体験、図書館ガイダンス、ゼミの説明、1学期の振り返りという流れで進みます。
高校生の興味・関心をできる限りサポートできるように、ゼミ形式で展開しています。
桐蔭学園は、担当教科の専門知識だけでなく、高い教養のある教員が多く、生徒の探究をサポートしていきます。
中等教育学校前期課程においては、1~2年は、活動の中に埋め込まれた「探究」のステップを体験しながら、「探究」の基礎スキルを学びます。日常生活から、問題を発見して、探究の基礎スキルを身に付けていくという授業構成になっています。
3年次は、「15歳のグローバルチャレンジ」として、模擬国連をベースとしたプログラムに取り組みます。担当国について理解を深め、国連総会形式の会議を実施し、全会一致での問題解決に挑みます。4年次には、「16歳のサイエンスチャレンジ」として、社会問題を解決するために、どのような科学技術が役立つか検討します。科学技術のチャンスとリスクの双方を把握した、社会につながるサイエンスマインドを育成します。その後、先に紹介したゼミに分かれて、探究を進めていきます。
生徒をサポートする組織
探究を学校で進めるにあたっては、図書館の協力が、必要不可欠です。この関係は、図のように、コイルと電流と中心棒の関係で説明されます(吉植 2015)。生徒がコイル、電流は教員で、中心棒の学校図書館司書によって、始めて電流が流れるというわけです。生徒が探究を深められる環境の実現のためには、 教員、学校図書館司書が協力して進めていきます 。
また、「みらとび」の授業を進める中で、「こうやったら、うまくいったよ」「こんなワークシートを作ったら、生徒たちこのように反応してくれたよ」などといった、教科を超えた先生方のつながりが、大変有効なものとなっています。