高校教科「情報」シンポジウム(ジョーシン)2020秋
2022年からの教育課程における「情報科」〜COVID‐19で注目された学習指導と情報科
中山泰一先生 情報処理学会理事/電気通信大学
高等学校教科情報シンポジウム(ジョーシン)は、高校教科情報のあり方を広く議論していく場として、2005年秋から年に1~2回のペースで開催してきました。
現役の高校の先生方にも広く参加していただき、教科「情報」をめぐるさまざまな課題を掘り出して、解決に向けての道を検討しています。そして、次の年はそれぞれが課題解決のためにどのようなことを行ったか、また、それはどのような成果を収めたかについて報告し合う場にしようということで、活動を続けています。そういった経緯もあり、全国高等学校情報教育研究会や、日本産業技術教育学会をはじめとする皆様に後援をいただいております。
教科「情報」は、2013年度から現行の「情報の科学」「社会と情報」が始まりましたが、2013年12月19日の毎日新聞に「情報教育軽視に危機感」という記事があり、この頃から情報を教える人材が不十分であることが懸念されていました。
現行の学習指導要領では、「情報の科学」と「社会と情報」は、選択必履修科目となっていますが、皆様もご存じのように、「情報の科学」を教わっている生徒は全体の約20%、「社会と情報」は80%という状況です。
現行の学習指導要領が始まった2013年6月に、「世界最先端IT国家創造宣言」が閣議決定され、小学校からのプログラミング教育の必要性が示されました。小学校でプログラミングが導入されたのは今年度(2020年)からですが、そのスタートはこの閣議決定です。私は、情報教育の切り替わりは、おそらくこの2013年ではないかと思っています。
さらに今年9月には、日本学術会議の情報学委員会情報科学技術教育分科会が、「初等教育から高等教育までの情報教育課程の設計指針」(※)を公表しました。ここには、小学校から高校、そして大学につながる、一貫した情報教育の重要性が示されています。
※http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/kohyo-24-h200925-abstract.html
本日の、「高校教科情報シンポジウム秋」では、2022年から始まる高校の新しい学習指導要領についての話題を予定しています。そして、この新学習指導要領に基づいた大学入試が、2025年から実施される、ということになります。
つい先日、10月21日朝7時のNHKニュースで、大学入学共通テストに教科「情報」が入るとされていることが大々的に報道され、翌日の朝日新聞が一面の記事にするなど、新聞各社がこの話題を一斉に報じました。情報科を取り巻く動きは、にわかに慌ただしくなってきています。
本日は、まず2020年からの学習指導要領に基づく情報科について、鹿野先生、柴田先生、小崎先生にご講演をいただき、その後緊急討論として、この報道を受けて、高校教科情報フェーズ3の内容はいかにあるべきかを議論していただこうと思っています。