New Education Expo2021
いよいよスタート! 教科「情報」の大学入試に備える
日経BP コンシューマーメディアユニット長補佐 中野 淳氏
私は以前、雑誌『日経パソコン』やWeb媒体「教育とICT Online」の編集長でした。現在は、『日経パソコン』『日経PC21』『日経ソフトウエア』『日経Linux』などの発行責任者を務めています。
新しい学習指導要領の下で、小学校・中学校・高等学校の全てで、いろいろな形でプログラミング教育が始まっています。また、最近はICT業界では人工知能(AI)が非常に盛り上がってきており、我々もAI関連の情報を積極的に提供しています。
高等学校の教科「情報」では2022年の春から必履修科目「情報Ⅰ」がスタートします。教科「情報」は従来、「社会と情報」「情報の科学」の2つの科目からどちらかを選んで学ぶ、という形になっていました。「社会と情報」はどちらかというと文系的な科目で、「情報の科学」の方はプログラミングを扱うなど理系的な科目です。
今回は、高校生全員が「情報Ⅰ」を学ぶことになりました。そして、2022年春に高校に入学する生徒が大学を受験するタイミングで、大学入学共通テストに「情報Ⅰ」が出題される方向になっています。従来、大学独自の2次試験で「情報」を出題する大学は少ししかありませんでした。今後は、多くの生徒が受験する大学入学共通テストに「情報Ⅰ」が出題されることで、独自の2次試験でも「情報」を出題する大学が増えるのではないか、と考えています。
今や、社会全体で、情報に関する素養や知識、経験が必須のものになろうとしています。こうした背景から、教科「情報」を入試科目にしようという流れになっているのではないでしょうか。この辺りは、後ほど辰己先生からもいろいろご紹介いただきます。
教科としての「情報」は、約20年前からあります。ただ、入試科目に入っていないことで、教育現場での力の入れ方には、温度差がありました。
しかし今回、大学入学共通テストに導入されることで、こういった状況が大きく変わってくるでしょう。高校としては、今後どのように入試対策を進めていくのか。また、大学の立場でも、この問題にどのように対応していくのか。さまざまな課題があります。今日はその辺りについて、いろいろと議論を進めていきたいと思います。
「情報Ⅰ」は、既に各出版社から2022年度に向けての教科書が出ていて、採択の検討が始まっています。下図に示したのは、文部科学省から出ている「情報I」の教員研修用教材です。ここにあるように、さまざまな内容を学んでいきます。その中には、プログラミングやコンピューターの構造、ネットワークといった内容もあります。また、世の中の動き、社会と情報とのつながりを重視したものになっていると感じます。
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教科「情報」の入試では、どのような問題が出てくるのでしょうか。大学入試センターは、共通テストに関して、教科「情報」の「試作問題」や「サンプル問題」を公表しています。
こちらは大学入試センターが2020年11月に発表した「試作問題」です。基本知識に対する穴埋めもあれば、スマートフォンでの動画撮影時のファイルサイズを計算する問題もあります。ファイルサイズの問題は、理屈を理解していれば、計算して解ける問題です。
また、さまざまな世の中の動きに合わせた出題もあります。こちらは交差点の交通量を分析して答える問題です。このように、プログラミングやネットワークなど、さまざまな分野から出題されています。
※「情報」試作問題(検討用イメージ) [情報処理学会のサイト]
こちらは2021年3月に公表した「サンプル問題」です。こちらを見ると、長文を読みながら解いていく問題になっています。プログラミングでは、比例選挙の当選者を決定する仕組みを考える問題が出ています。
「データの分析」では、サッカーの試合結果を基に分析する問題が出ています。
この辺りは、サイトで問題や正答、解説などを掲載していますので、ご覧になってください。
私からの説明は以上です。この後は、先生方にご講演いただきます。