FIT2021 (第20回情報科学技術フォーラム)公開シンポジウム

大学入学共通テスト「情報」のサンプル問題について

大学入試センター 試験問題調査官 水野修治氏

愛知県高等学校情報教育研究会・研究協議会より
愛知県高等学校情報教育研究会・研究協議会より

本日は、恐らく大学の先生が多いかと思いますので、この4点についてお伝えしたいと考えております。

 

まず1点目として、大学入学共通テスト「情報I」について、私どもが考えている問題をご覧いただきたいと思います。

 

次に、令和7年度の試験では、「情報I」の試験はCBTでなくPBT、つまりこれまでどおり紙の試験で実施します。そうなると暗記科目になるのではないか、というご懸念もよく聞きます。私どもはPBTでも、情報に関する深い知識や、思考力・判断力・表現力等を測ることができる試験を目指しているということを、大学入学共通テストの問題作成方針を踏まえてご説明したいと思います。

 

 

3点目として、「情報I」が共通テストで実施され、大学が入試として活用していただけると何が変わるのかについて、皆さんにイメージしていただきたいと思います。そして最後に、持続可能な共通テスト「情報I」のためのお願いをしたいと思います。

 

※共通テスト「情報」のサンプル問題の解説、および大学入学共通テストの問題作成方針については、第14回全国高等学校情報教育研究会全国大会(大阪大会)の基調講演で詳しくご紹介いただいていますので、こちらをご覧ください。

https://www.wakuwaku-catch.net/kouen210801/04/

 

 

入試への「情報I」の導入で大学教育はどのように変わるか

さてここからは、大学入学者選抜試験として、この共通テスト「情報I」を課した後に入学してくる学生をイメージしていただきたいと思います。

 

現在、大学では文系・理系を問わず、数理・データサイエンスの教育強化が、国を挙げて押し進められているかと思いますが、「情報I」は大学におけるデータサイエンス・AI教育をさらに充実させるための基礎となります。

 

 

大学の基礎教養科目の中には、おそらく「情報I」と内容の重なりが多い科目があるのではないでしょうか。となれば、「情報I」を入試に活用すれば、当然、カリキュラム内容の見直しが必要になります。つまり、情報科学や情報セキュリティ、シミュレーションやプログラミング、データサイエンスの基礎を学生が既に学んでいるという前提で、もっと高度な内容から入っていける。そんなカリキュラムをイメージしていただけるのではないでしょうか。

 

最後にお願いがございます。本日参加されている先生方の中には、これまでセンター試験の作問委員として、「情報関係基礎」や数学など、工夫を凝らした良問をお作りいただいた方も多くいらっしゃるかと思います。ご尽力いただきまして、ありがとうございます。

 

令和7年から始まる「情報I」は、これからの情報社会を生きる生徒にとって、欠かすことができない基礎科目となりますので、共通テストとして良問と言われる問題を、今後何十年にわたって作り続けていかなければなりません。担当いただいた先生であればご理解いただけると思いますが、問題を作り上げるまでに、非常に多くの時間と労力を要します。しかも大変神経を使う作業ですが、作問委員皆様の協力なしでは、共通テスト「情報I」は持続できません。

 

今後委員をお願いすることになりましたら、日本の情報教育、データサイエンス教育のために、ぜひお力をいただきたいと思います。何とぞよろしくお願いいたします。

 

FIT2021 公開シンポジウム講演より