「情報が得意で、尖った学生にチャレンジしてほしい入試」
~電気通信大学 2025年度入学者選抜における「情報」入試/CBTに関する高校教員等向け説明会
電気通信大学は、2025年度入学者選抜から、個別学力検査(前期日程)で選択科目に情報Iを、総合型選抜と学校推薦型選抜では、CBT(Computer Based Testing)を利用した情報Ⅰを含む選抜を実施する方針を発表しています。CBTを利用した情報Iを含む選抜は日本初となります。
情報入試の先陣を切る形となるこの入試の意図に関して、高校教員向けの説明会が開催されました。
(2023年9月30日 対面とオンラインのハイブリッド開催)
■記事内容は、2023年9月30日の説明会時点の予定に基づくものであり、今後追加の決定や変更が生じる可能性があります。最新の情報は大学のホームページ(※1)をご確認いただくとともに、出願・受験の際は入学者選抜要項、学生募集要項を必ずご確認ください。
また、この記事は当日説明会を取材した「キミのミライ発見」のスタッフが、登壇された先生方のお話をもとに作成し、大学のご確認をいただいて掲載いたします。
※1 電気通信大学ホームページ
2025年度入学者選抜におけるトピックスの概要
電気通信大学の2025年度入学者選抜の、情報Iに関する大きなトピックスはこちらの3点です。
大学入学共通テスト(以下、共通テスト)で情報Iの受験が必須になるとともに、一般入試前期日程の個別試験で、物理、化学とともに情報Iが受験科目として選択可能になります。
さらに、情報理工学域(学部)の3つの類のうち、I類(情報系)の総合型選抜と学校推薦型選抜において、CBTを活用した「情報」と「数学」に関する基礎学力検査を実施します。
総合型選抜でCBTを実施するI類(情報系)は、情報技術の仕組みを社会に応用していくことを目指す研究が行われています。
2023年4月には従来の「メディア情報学」「経営・社会情報学」「情報数理工学」「コンピュータサイエンス」の4つの教育プログラムに加えて、工学教育においては日本初のデザイン思考を取り入れた、学士・修士一貫の教育プログラム「デザイン思考・データサイエンス(D×2:デンツー)」プログラムが新設されました。
デザイン思考・データサイエンスプログラムは、2024年度から募集定員を拡大し、一層の充実を図ることになっています。
情報理工学域と情報理工学研究科
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個別試験(一般選抜前期)の筆記試験 情報Iでは「コンピュータとブログラミング」を重視
こちらが2025年度一般選抜の科目と配点の予定です。こちらはI類・Ⅱ類・Ⅲ類共通になっています。
個別試験(筆記試験)で情報Iを課すのは前期のみで、物理・化学・情報Iから2科目選択します。
出題範囲は情報Iの全てで、情報に関する基礎的な知識と思考力を問う問題を出題しますが、特に「コンピュータとプログラミング」の分野、情報技術やデータを活用するための論理的思考力を問う問題を中心とする予定です。プログラミングは、特定の言語に依存しない表記法を使って出題されます。
共通テストが、高校段階での基礎的な学習の達成度合いを判定することを目的として、情報Iで学ぶ内容をバランスよく評価することを目的とするのに対して、この個別試験では、「電気通信大学に入学してほしい受験生が修得しておいてほしい力」に重点を置いて評価することが目的ですので、理由を考えさせる問題など、記述式の問題も出題されます。最終的な合否は、共通テストとの総合で評価することになります。
試験は筆記(ペーパー)で行い、2科目で120分とする予定です。その場合、科目によって時間は区切らないため、時間配分は受験生次第ということになります。
また、選択科目は事前に申請するのでなく、当日問題を見た上で選択することができるようにする予定ですか、この点はまだ決定していませんので、今後の発表で確認してください。
後期日程の個別試験では、情報Iは課さず、物理・化学2科目が必須です。物理の比重がやや高くなっています。
総合型選抜・学校推薦型選抜~I類(情報系)でCBTによる基礎学力検査を実施
2025年度の総合型選抜・学校推薦型選抜から、I類(情報系)ではCBTによる基礎学力検査および非認知能力調査が実施されます。総合型選抜・学校推薦型選抜とも、共通テストは免除されます。
■総合型選抜
総合型選抜では、出願時の提出書類として、各類が指定する活動についての「活動実績報告書」が求められます。I類・Ⅱ類では動画提出も求められます。
総合型選抜の第一次選考は、I類が出願書類と、CBTによる情報および数学分野に関する120分の基礎学力検査と非認知能力調査(※2)、Ⅱ類とⅢ類は出願書類で行います。
CBTの試験時間は、数学・情報合わせて120分程度。教科別に実施する予定です。時間配分は現時点では未定です。
第二次選考では、第一次選考合格者に対する面接試験を実施し、合格者を決定します。
面接試験の内容は各類共通で、活動実績報告書の内容に関するプレゼンテーション(10分程度)と、質疑応答を中心とする面接・口頭試問(20分程度)です。
※2 CBTによる非認知能力調査:
主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度、粘り強さなど、学力テストでは測れない能力の調査をCBTによって実施する。調査結果は第一次選考の成績には加味されず、面接試験の参考とする。
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■学校推薦型選抜
学校推薦型選抜の出願時には、学校からの推薦書、および出願資格として評定平均値が定められています。
入学者の選抜は、各類共通で総合問題試験、面接試験および提出書類(推薦書・調査書・志望理由書)を総合して行われます。
I類では、これらに加えてさらにCBTによる情報および数学の分野における基礎学力検査を実施し、結果が加味されます。
総合問題試験は、情報・理工学分野を学ぶために必要な理数的基礎知識や、読解力、作文能力、論理的思考力を筆記により問います。試験時間は120分で、課題は英文で与えられることもあります。
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電通大のCBTの特徴~世界標準準拠、項目反応理論を用いた問題バンク方式で実施
CBT(Computer Based Testing)はコンピュータ上で実施されるテストの総称です。2007年にCBTの実施・運営に関する国際標準(ISO/IEC2007,JIS X 7221)が設定され、日本でも情報処理技術者試験やITパスポート試験、医学系大学共用試験などの国家試験がこの標準に準拠しています。電気通信大学では、これらの試験に対する技術提供を行っています。
電気通信大学のCBTのプラットフォームは、この国際標準に従い、OECDの学習到達度調査CBTにも使われているTAOに、情報入試のためのプログラミングやデータ解析の問題のためのモジュールを載せる形で作られています。
また、文部科学省の委託事業「令和4年度大学入学者選抜改革推進委託事業(個別大学の入学者選抜等におけるCBTの活用)」の採択機関で、大学入試センターと協力してCBT入試を設計・導入して、将来的には情報・数学以外の科目への応用の可能性の検討にもつなぎます。
CBTの重要な要件は、同一能力の受検者が異なる問題セットのテストを受検しても同レベルの結果が出るデータサイエンス技術を組み込んでいることです。
この仕組みが「問題バンク方式」で、問題バンクと呼ばれる問題データベースから、項目反応理論(IRT:Item Response Theory)に基づいて所望の条件を満たして等質になるように、テストを構成します。問題バンクの中の問題項目は繰り返し使われるため、試験実施後も非公開となります(※3)。
※3 問題の非公開は、CBTの国際標準規約の要件
2025年度入学者選抜(2024年9月~11月実施予定)では、I類の総合型選抜と学校推薦型選抜において、このCBTを利用した情報Iと数学の基礎学力検査、および非認知能力調査を実施します。
数学では基礎学力の確認、情報Iでは基礎知識の確認と、実際のプログラミング環境でプログラムを編集・実行しながら解答を求めたり、データ分析ツールを用いて実際のデータを分析しながら解答を求めたり、といった、従来の紙ベースの試験や口頭試問だけでは測定できなかった実践的な力を評価することになります。言語はPythonがベースになりますが、Python以外の言語を学んだ人にも対応できるようにします。解答プロセスのログも取れるので、試行錯誤のプロセスも評価に入ります。
また、非認知能力調査は、選抜には直接関係しませんが、結果を参考として面接を行うことになります。
テストは大学のコンピュータ室で、カンニング防止用のフィルターやボードを設置した環境で行います。万一使用しているコンピュータに不具合が発生した際には、速やかに別のコンピュータに移動して、そこまでの作業の続きができるようになっています。試験開始からの経過時間はコンピュータが保持しているので、所定の試験時間いっぱい取り組めるようになっています。
CBTの実施問題、および過去問題は公開できませんが、サンプル問題は大学のホームページで公開します。また、受験予定者に対しては、ホームページ上でCBTの練習用システムを公開する予定です。
2025年度入学者選抜における個別試験「情報」体験会・解説会、CBT説明会を開催
電気通信大学では、2023年11月26日(日)に開催するオープンキャンパスで、個別試験の情報「試作問題」による模擬テストの体験会と解説会、CBTシステムの説明会を開催します。
■個別試験 「情報」試作問題模擬テスト体験会・解説会
情報「試作問題」による模擬テストの体験会の概要がこちらです。
対象は高校2年生・中等教育学校5年生で、電気通信大学の教室での実施を予定していますが、Zoomで遠隔地から参加できるようにします。体験会の参加者募集は、10月末開始予定です。
また、同日午後に、体験会で出題した試作問題の出題意図や、解答例の解説をする「解説会」を、対面およびオンラインで実施します。体験会に参加した生徒、教員など、参加対象に制限はありません。
■CBT説明会
CBT説明会の概要がこちらです。CBTの理論や効果、CBTシステムの説明を行うもので、対面とオンラインで実施し、どなたでも参加できます。
CBTのサンプル問題の解答や解説は、後日Web上で公開予定です。