神奈川県情報部会実践事例報告会2023オンライン

情報の現状と展望

国立教育政策研究所 田﨑丈晴先生

今回の「情報Ⅰの現状と展望」というタイトルは、実は事務局の皆さんから頂戴したタイトルです。「情報Ⅰ」が、今注目されているのは、多分大学入試の影響が大きいでしょう。今日のオンデマンドやポスターの発表でも、大学入試のことを取り上げてくださった方が何人かいらっしゃいました。

 

大きな注目を集めているのは、それはそれでよいことですし、「情報Ⅰ」の共通テストがうまくいってほしいと思っています。

 

では、「情報Ⅰ」を生徒が全員履修すれば、それだけでよいでしょうか。せっかく「情報Ⅱ」という科目があるので、「情報Ⅱ」についても検討していただきたい、ということを長めにお話しするかもしれません。どうかよろしくお願いいたします。

 

 

さて何はともあれ、神奈川県の情報部会の先生方には、この年末の一番忙しい時期に、このように全国どこからでも発表の申し込みができて参加もでき、実践事例を共有する会を設けていただいたことを、本当に感謝しています。

 

先ほどまでポスターセッションが行われていましたが、午前中のオンデマンド発表者との座談会にしてもポスターセッションにしても、3つの会議室を設けて時間を区切って運営する、というところは、さながら全国大会のようでした。

 

それができたのは、そのために座長になってくださった先生方やプログラムを組んでくださった先生方、呼び掛けてくださった先生方のおかげです。

 

そして、今日この日を楽しみして参加してくださった先生方のご協力もあって、このイベントが無事に終了できたことに感謝の念を持つとともに、この時期にこれだけ多くの先生がたが集まってくださり、情報交流をしていただけているということは、私にとっても大きな励みになるところです。ありがとうございました。

 

多彩な参加者、多彩な発表。参加者と発表者の交流から生まれる新たな学び

さて、今回のイベントのテーマは去年と同じく「事例発表者(勇者)を讃え、交流しよう!」ということでした。この交流の場が残るようにしてくださっているのは、本当にありがたいです。

 

先ほどのポスター発表では、ホワイトボードにいろいろな質問・意見や、それに対する回答も書き込まれていました。そのやりとりは、後から見ても学びになると思います。

 

またオンデマンド発表は、今日見られなかった動画を、後日見直すことができるので、とてもありがたいと思います。

 

さらに、一方的に見るだけでなく、Zoomで発表者の先生と直接やりとりすることができて、今の疑問や知りたいことをいうことを共有してくださっていることもすばらしいと思いました。

 

 

今年も、学習指導要領の4つの分類の全てに、多くの発表が寄せられました。去年も思ったことですが、神奈川県の学校から15件の発表者が出るというのは、本当にすごいことと思います。他県の皆様にとっても、大いに刺激になったのではないでしょうか。神奈川県以外でも、今回の発表者は北陸から九州まで、参加者では北海道から九州までと、非常に幅広いものでした。

 

参加された方の属性も、高校、大学、教育行政、教育団体、一般社団法人、企業と幅広く、また発表されたのも現場の先生方だけでなく、指導主事の先生、校長先生、大学の先生、そして学生さんもいらっしゃいました。高校の先生の発表かなと思って見てみると、実は大学院にも通っているという方ももいらっしゃって、最先端の研究を発表されていたのも、非常に刺激になりました。

 

また、企業の方や団体職員の方が高校と連携した実践を発表された例もありました。

 

このように、いろいろな方とともに、情報科を推進できるということが共有できたのではないかと思います。

 

「情報I」スタートから1年経ったことの実感

次に、去年から変わったなと思うところ、深まったと思うところ、気が付いたところをまとめました。

 

DX(デジタルトランスフォーメーション)に早速取り組んでいただいている事例があったのが驚きで、また嬉しいところでした。

 

これから国全体でデジタル化を推進するにあたって、情報科として何をするのかと考える期間なのかなと思いきや、早くも実践されているというスピード感は、ありがたいことであるとともに、見習うべきことでもありました。

 

 

さらにAIです。AIは今年度のキーワードに必ず入って来ると思いますが、「AIをこう使いました」というだけでなく、例えば「AIと著作権」といった、今現在は答えがなくて、これから答えを見出していくであろう、ということについても積極的に取り組まれていることが共有されました。このように、時代の先端を行くという視点での実践は、本当にありがたいと思います。

 

また今年は、同じ学校に情報科の先生が2名配置されている学校で、2名とも発表されたところがあり、私にとってたいへん刺激になりまた。お二方が実践を共有することが、お互いの授業力にとって刺激になっているのでしょう。そして2人ともが発表しよう、という雰囲気にあるというのはすばらしいと思いました。

 

また、学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」の実現を求めていますが、そういった視点でも、また探究的な学習活動の充実や、実践的・体験的な学びの充実という視点でも参考になる様々な事例が共有されたと思います。

 

何よりも、タイトルを見ると生徒の学習活動が想像できるような、生徒を主語に設定された事例が多く見受けられました。

 

昨年も申し上げましたが、主体的・対話的で深い学びというのは、仕込むとか、教え込むとか、やらせるということではありません。評価についても、ランキングで上から何番までが5とか4とかいったことではなくて、観点別評価で「B」として評価できるように指導して、もし「C」になりそうな生徒がいたら、改善に向けた手だてを講じて「B」になるまで育てるのだ、ということは以前からもお伝えしていましたね。

 

オンデマンドにしても、ポスターにしても、まさに生徒が体験しながら学ぶ場や、できる限り話だけで終わらない授業実践が紹介されていました。さらに、生徒だけでなく、先生自身が必ずしも得意でない分野についても、体験的に分かるように工夫された授業を一生懸命考えてくださった事例が共有されました。学習指導要領の着実な実施・より良い実施と申し上げていますが、そういったことが確実に実現されているという確信を持って、発表をうかがうことができました。

 

また、教科等横断的な取り組みの中では、数学、特に「データの活用」や「データサイエンス」の視点での数学との連携、「総合的な探究の時間」との連携が共有していただけたと思います。大学では、数理・データサイエンス・AI推進の流れで学部が作られたり、数理・データサイエンス・AIのリテラシーレベル・応用基礎レベルのカリキュラムをつくって認定を受けたり、といった動向になっていますが、高校段階でも、「情報」と数学が連携した形で、データサイエンスの学びや大学の学びにつながるような期待感を持てるような事例も共有していただけました。。

 

そして産業界との連携です。産業界と連携してプログラミングの授業をしたり、情報オリンピックに参加した、という事例も共有していただきました。また自治体にとっての参考事例としては、生成AIや校務システム導入において、行政組織の中で施策が実現できるようにするために何をしなければいけないのか、ということも教えていただけました。これも、教育行政は学校現場により良い教育環境を実現できるように、と頑張っていただいていることが伝わり、現場としてそれにどう応えるのか、というお話を伺うことができ、これからを見据えた多くの取り組みを共有していただきました。

 

これからも、挑戦されたことをこういった場で気軽に共有していただければと思います。ありがとうございました。

 

文部科学省高等学校情報科オンライン学習会

文部科学省でも、年明け早々にオンライン学習会を計画しています。

 

令和5年度の第3回として、1月11日16時から「情報Ⅰにおける授業改善~コンピュータとプログラミング~」と題して、東京都立町田高校の小原格先生から、「コンピュータとプログラミング」の授業の昨年と今年の取り組みを比較してお話ししていただくことになっています。

 

桐蔭学園の登本洋子先生が進行役として、アクティブラーニングや探究的な学びの推進という視点で、小原先生のご発表を掘り下げてくださるのかな、と期待しています。

 

さらに、また第4回以降は「情報Ⅱ」の内容で、今後も継続して行う予定になっています。楽しみにしていてください。

 

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情報教育の視点から見たPISA2022の結果

さて、皆様はPISA2022の結果はご覧になりましたでしょうか。今回は、情報教育の視点で、この結果を受けて何ができるのか、ということについて、少し共有していきたいと思います。

 

https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html

 

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数学で出題された問題の例が4つ掲載されていましたが、そのうち2つが、統計的な概念を理解して身の回りの問題についてその知識を活用できるか、考えられるかという問題でした。

 

ご覧の問題は、あるバスケットボールチームの複数試合の得点差の平均が19点だった場合に、「得点差が19点だった試合はなかった」という可能性の有無を判断した上で、そのように判断した理由を説明する、というものです。

 

単に「平均を出しなさい」とか「平均とは何ですか」といったことではなくて、「平均」の意味が分かっていれば、このシーズンの得点差の平均を踏まえると、このチームが実際にどの試合でも19点差で勝ったことがないということは、あり得るかを判断できるだろう、という問題です。

 

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こちらはいろいろな国の森林面積の割合のリストが示されていて、「韓国はリストにある他のどの国よりも森林面積が多い」という主張がデータに基づいているかを判断して、そのように判断した理由を説明する、というものです。

 

ここから分かることは、データを読み解くに当たっては、単に数値を評価するのでなく、その数値が表している状況についても考えられるかということです。

 

こういった問題は、数学の「データの分析」の問題のようにも見えますが、身の回り、あるいは社会に起こっていることと関連付けて考えて結論を出すという点では、「情報」に近い問題なのかなとも思いました。先生方は、どのように見られたでしょうか。

 

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「情報」と数学のコラボレーション

 

また、質問調査の分析として、「数学を実生活における事象と関連付けて学んだ経験が少ない」ということや、「数学的な思考力の育成のために日常生活と絡めた指導を行う傾向が、OECD平均に比べて低い」ということが指摘されています。情報科の先生は、「これは数学のことだ」と思うだけでよいでしょうか。

 

「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」には、数学との深い関連を図る学習内容があります。先生方もご承知のとおり、「情報Ⅰ」は情報社会に参画する態度、「情報Ⅱ」は情報社会に寄与する態度を育てるという、問題解決の視点を持つ科目です。

 

数学の先生とどのようにコラボレーションすれば、世の中の身近な事象と関連付けて問題解決できるか、それに情報技術、特にデータの分析やデータサイエンスを役立てることができるかと考えることで、数学と情報双方の学びをさらに深めることができるでしょう。

 

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主体的・自律的に学ぶ姿勢を身に付けることの必要性

 

また、新型コロナのときのように、学校が再び休校になったときに、テクノロジーを活用して自律学習ができる自信があるか、という問いについて、日本は「自信がない」と回答した生徒が多かったことが指摘されています。

 

そもそも、「主体的・対話的で深い学び」にしても、「個別最適な学び」にしても、自分のペース・自分の判断で学びを進めていくということに慣れていることが必要です。

 

「個別最適な学び」「協働的な学び」という視点で捉えても、生徒が主体的・自律的に学んでいく姿勢を育てる必要があることが読み取れます。そもそも「情報」は、問題解決の視点で学んでいく教科ですから、生徒がこのような姿勢を「情報」の授業で身に付け、得意になるということを目指しましょう。

 

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ICT環境・学習場面での活用の状況は…

 

そしてICTのリソースの利用のしやすさについては、GIGAスクール構想の中学校を卒業して、高校に入ったばかりの時点での調査結果でしたが、デジタル環境が整っている、利用しやすくなっていると回答してくれた生徒が多く、GIGAスクール構想が進んでいる現状から見れば良かったと思います。

 

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一方で、教科でのICT活用というところでは、まだまだ伸びしろがあるなというところです。

 

実は、2018年のPISAから比べて、スコアとしては日本もOECD平均も伸びています。ですから、まだOECD平均より活用の度合いが低いと指摘されてしまいましたが、この点は取り組む余地がまだたくさんあると捉えていきたいと思います。

 

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ICTを用いた探究型の教育の頻度ということで、項目がいろいろ並んでいますが、このような視点の学習活動は、共通教科情報科でも専門教科情報科でも通常あり得ることです。

 

ただ、これらが情報科の授業だけで行われていて、他の教科では全く行われていないのであれば、週に1、2回の範囲を出ないということになります。

 

ですから、この「毎日またはほとんど毎日」という回答が多くなってくるためには、他教科でもICTを用いた探究型の教育が広く行われる必要があると思います。

 

回答の中には、「年に1、2回」というものもあります。これは、高校1年生の4月から6月に実施した調査ですから、この回答後に情報の授業で経験しているということはあるかもしれません。

 

ただ一方で、下の囲みにも書いたように、共通教科情報科には、探究的な学習活動の充実がますます求められているという受け止めとともに、情報活用能力を育成する中核としての役割が問われているのかもしれません。

 

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こちらは先生方にとっては朗報かもしれませんが、コンピュータやプログラミングへの興味・関心として、プログラミングを学ぶことに興味があるという生徒はOECD平均よりも多い、という結果が出ました。

 

一方で、プログラムを作成することについて自信があるか、ということについては、OECD平均のスコアよりも少し低くなっています。

 

ここで、先生方がとにかく教え込んで、やらせようとしたりすると、プログラミングそのものが嫌いになってしまうかもしれません。

 

そうではなくて、プログラミングでこういうことができる、あんなこともできる。だったら、こんなこともやってみようと生徒が思うことができ、励みになるような授業をぜひお願いしたいと思います。

 

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PISAの2018年調査のときは、ICTを家ではゲームやチャットに使っていて勉強では使わないという結果が出ていましたが、今回その点は多少改善されたようです。

 

質問では、ゲームやSNSを使う時間について、「平日の余暇活動における」と書かれていますが、1日7時間より多いというのは、余暇なのかなと思いますが。余暇はほどほどにというところが、データでも見えたということでしょう。

 

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PISA調査結果を踏まえた文部科学省の取り組み

 

これを受けて文部科学省は、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善、これは共通教科情報科で言えば、探究的な学習活動の充実を図るということになります。

 

さらに、専門教科情報科では、産業界と連携した形で実践的・体験的な学習活動を充実させるということになります。

 

そして、理数教育のさらなる充実ということが謳われています。このPISAの調査は、高校1年生が始まったばかりのところで実施されています。その後文系・理系の選択が行われます。

 

今回、日本の生徒の数学的リテラシーは世界トップと報道されましたが、その生徒たちが進級すると、文系の生徒は、数学はあまり勉強しないといったことが起こってしまう。個人的にはもったいないことだと思います。

 

デジタル社会を推進する上で、「情報」と数学に関しては、文系・理系関係なく素養として身に付けておくことが重要ですが、一方で科学的な素養を活かして問題解決できる人材も必要ですので、こういった書きぶりになっているのだろうなと思います。

 

 

そして、情報科と関連が深いところでは、「GIGAスクール構想の推進」と「情報教育のさらなる充実等」ということがあります。

 

「情報教育のさらなる充実等」については、

・プログラミング教育の充実

・「情報Ⅱ」の開設や探究学習の強化を図るための高等学校のDXの全国的な推進

・情報モラル教育のさらなる充実

という3点が示されています。ここでも「情報Ⅱ」の開設、推進が謳われています。

 

 

今回の補正予算で、「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」という事業名で、「情報」や数学を重視するカリキュラムの実施を含めて、こちらのスライドに挙げられている具体的な取り組みを推進していただく、ということで、1校あたり最大1000万円、1000校でトータル100億円の予算が認められています。

 

大学では、デジタルや理数分野に3000億円を超える予算が投じられて、データサイエンス系の学部を創設したり、数理・データサイエンス・AIのカリキュラムの充実を図ったりするなどの取組が行われています。

 

高校段階においても、「情報」や数学の教育を重視するカリキュラムを実施したり、ICTを活用した文理横断的な探究的な学びを強化する学校などに対して、必要な環境整備の経費を支援したりすることを目的とした事業になっています。

 

求められる具体的な取り組み例の1番目には、「『情報Ⅱ』や数学ⅡB・ⅢCの履修推進」と書かれています。今、これをお聞きになっている先生方で、「情報Ⅱ」を設置している、もしくは設置する予定の学校においては、積極的にこういった事業を活用していただきたいと思います。

 

支援対象の例としては、ICT機器整備として、ハイスペックPCや3Dプリンタ云々と書かれていますが、例えば1人1台端末の導入でパソコン教室が廃止された学校でも、ハイスペックPCや3Dプリンタを配備したSTEAMの拠点となる教室を作っていただくとよいと思います。

 

今回、3Dプリンタの実践事例を発表していただいた先生方、ありがとうございました。内容は情報Ⅱのデータサイエンスで、少々びっくりしましたが、まさにそういった学校で、こういった事業を活用していただきたいと思います。

 

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DXとは具体的に何をする?何ができる?

「DXと言ってもイメージがわからない」という先生いらっしゃるかもしれません。

 

そこで、皆様おなじみのSociety5.0の説明の絵の中のいろいろなセリフを拾って、学校に当てはめてみると、このようなことが考えられるかな、というものを作ってみました。

 

今までのことを単にデジタルに置き換えるということではなさそうだ、ということや、もしくはデジタル化を推進するときには、組織改革や人材育成も必要になるのだな、ということを含めてお考えいただきたいと思います。

 

ですから、「情報Ⅱ」や数学ⅡB・ⅢCを推進するカリキュラムを設置するときも、これらをどのような素養として身に付けていけば、将来デジタル人材として活躍できるのかということを考えていただきたいと思います。

 

経済産業省も、既にデジタル人材の育成のために様々な取り組みしています。これは、文部科学省だけではなくて、国全体で課題意識を持っているということです。ぜひデジタルスキルをしっかり身に付けた状態で世の中に送り出していくために、ご協力いただければと思います。

 

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「情報Ⅱ」を設置していただくにあたって、大事なのはスライドの右-の方、「情報Ⅱ 」の主な内容」の「(5) 情報と情報技術を活用した問題発見・解決の探究」です。

 

「情報Ⅱ」の(1)から(4)まで学んだことを、(5)の探究で結実させて、生徒が力を発揮するということにチャレンジしていただきたいと思います。

 

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解説動画「情報Ⅱ」の内容予定は

 

「情報Ⅰ」の解説動画では、例えば問題解決の例として、「情報デザイン」では「デザイン思考」と「共感マップ」を組み合わせてコンテンツを制作するということを挙げています。「情報Ⅱ」では、コンテンツを制作して発信し、さらに分析して改善するというところまで行います。

 

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プログラミングでは、「情報I」は身近な話題から問題を解決するための方法や手順を用いて解決策を考える、つまりシミュレーションを行いますが、「情報Ⅱ」では情報システムの設計に加えて、制作→改善→評価してさらに改善する、というところまで行います。

 

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「データサイエンス」では、「情報Ⅰ」ではPPDACサイクルの流れを紹介し、単回帰分析を適用した問題解決まで扱っています。「情報Ⅱ」では、さらに主成分分析や分類による予測で、ニューラルネットワーク等も扱う予定で、現在解説動画を準備しています。

 

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小学校から大学を通したデジタル人材の育成

 

文部科学省は、このスライドのように、デジタル人材育成に向けて小中高大を通してリテラシーレベルから応用基礎レベルの育成の取り組みを進めていくとしています。

 

このDXハイスクールの取り組みを通して「情報Ⅱ」をしっかり学んで、応用基礎レベルまでいけるような生徒が輩出されていくことが期待されています。

 

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大学の数理・データサイエンス・AIのカリキュラムの内容は、こちらをご覧ください。「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」に含まれているものも、いないものもあります。

 

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詳しく見ますと、リテラシーレベルの「社会におけるデータ・AI利活用」の部分、ここだけを見ても、例えばデータやAI利活用のための技術として、「データ解析」「予測」「グルーピング」「パターン発見」「最適化シミュレーション」「データ同化」などが挙げられていますね。「予測」や「グルーピング」は「情報Ⅱ」でしょう。

 

シミュレーションは「情報Ⅰ」でもやりますが、「最適化」はやっていない、というように、「情報Ⅰ」の内容と「情報Ⅱ」の内容、さらにどちらでもやってない内容というのが混在している状態です。

 

ただ、大学に進んで「数理・データサイエンス・AI」のカリキュラムの講義の中だけで紹介されても、高校で「情報Ⅱ」まで勉強しておけば、理解が深まった状態で、学んでいけるのではないかと思います。

 

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高校での情報科指導の充実に向けて

 

高校の指導体制については、12月27日に通知を出しました。

 

とりあえず免許外教科担任や臨時免許状の先生は減りました。来年までには、全ての自治体でゼロになるという見込みを出しています。

 

※ 高等学校情報科に係る指導体制の一層の充実について(通知)

 

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文部科学省の、教員の専門性や指導力向上の取り組みとして、これまでやってきたこと、今実施していること、そしてこれから実施する予定をまとめたのがこちらです。

 

現在「情報Ⅱ」の解説動画を作成しています。「情報Ⅱ」の学習会もこれから準備しようとしています。

 

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また、情報科の先生になりたいけれど、情報科の教職課程は取っていないという方がいらっしゃいましたら、教員資格認定試験もありますので、こちらも見ていただればと思います。

 

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DXハイスクール実施にあたり、期待を込めてということで4点書かせていただきました。

 

デジタル人材育成の観点で、情報教育に対して、これだけ大きな風が吹いてきて、重要視されるようになったのは、本当にまたとないことなので、情報科の先生はこの機会をぜひ生かしてほしいと思います。

 

ですから、学校現場の先生も含めて、教育委員会で教育のデジタル化に関わっている方々は、デジタル化に向けての仕掛け役として、ポジティブな取り組みをしていただきたいと思います。

 

そして、生徒の皆さんに対する指導では、教え込むのでなく、AIや情報技術を使って問題解決ができる人材の育成につなげていただきたい。そして最後に、学習指導と学習評価は、クリエイティブな視点で行ってほしいという期待を込めて、私からの説明とさせていただきます。ありがとうございました。

 

神奈川県情報部会実践事例報告会2023オンライン 講評講演より