大学入試を中心とした情報分野の学力評価手法の検討シンポジウム2024

大学入試「情報」とCBT

電気通信大学 渡辺博芳先生

私は現在、電気通信大学(以下、電通大)共通教育部の情報部会におりますが、長らく帝京大学理工学部におりまして、昨年電通大に異動いたしました。

 

今日は、情報入試についてお話ししますが、スライドの下の方にありますように、帝京大学は1990年代から入試の一部で「情報」を出題してきました。

 

そして、皆さんもご存じのように、電通大は2025年度入学者選抜から、個別前期日程で「情報」を出題します。さらに、総合型選抜と学校推薦型選抜で、CBTで「情報」を出題します。これは「情報」だけでなく数学も出題しています。電通大のホームページでは試作問題とサンプル問題を公開しています。ここには解説動画もありまして、私が問題と解答の解説をしています(※1)。

※1 https://www.uec.ac.jp/news/admission/2024/20240722_6390.html

 

 

情報教育の分野については、以前から勉強させていただいてきましたが、最近2年は、雲雀丘中学校・高等学校の林宏樹先生と共同研究として、特にデータ活用の分野について、「情報Ⅰ」全体を見据えた授業設計を研究しています。こちらについては、情報処理学会の論文誌「教育とコンピュータ」に、3本の論文を出しています。

 

 

今日は、大学入試への「情報」の導入についての1990年代からの動きとその後の動き、そして電気通信大学の情報入試についてもご紹介します。

 

そして、大学入試への「情報」の導入の意義と高等学校への期待について、私なりに考えたことをお話ししつつ、最後にCBTについても触れたいと思います。

 

 

大学入試への「情報」の導入の流れ~「情報関係基礎」の誕生まで

 

まず、大学入試への「情報」導入のお話です。

 

この辺りについては、皆さんはすでにご存じのことかと思いますが、まず1997年から大学入試センター試験(以下、センター試験)で「情報関係基礎」が始まりました。そして、1998年に、弘前大学をはじめとして、ここに挙げたような大学でも個別試験で「情報」が出題されていました。

 

これは、電通大の中山泰一先生が調べられたものですが、当時、実は結構な数の大学で「情報」を出題していまして、帝京大学もここで出題していました。

 

出題科目名としては、センター試験と同じ「情報関係基礎」や工業系を意識したであろう「情報技術基礎」、同じく商業系の「情報処理」といった名称でした。

 

 

「情報関係基礎」の出題までの経緯を見ますと、1989年告示の学習指導要領で、職業教育を主とする学科において情報に関する科目が設置されました。

 

それを受けて、1993年6月の「平成9年(1997年)度からのセンター試験の出題教科・科目等についての中間まとめ」で、「情報関係基礎」を出題する案が公表され、翌1994年には、職業教育を主とする高校で「情報」の授業が始まりました。

 

そして同年6月に、1997年度のセンター試験で「情報関係基礎」を出題することが公表され、1997年に出題された、という流れになります。

 

要は、大学入試センターとして、学習指導要領の改訂によって新たに設置された「情報」の達成度をきちんと測れるようにした、という流れであると思います。

 

 

初年度の「情報関係基礎」はどんな問題だったのか、久しぶりに見てみました。こちらは、情報処理学会のセンター試験・共通テストのアーカイブ(※2)でご覧になれます。

 

※2 https://sites.google.com/a.ipsj.or.jp/ipsjjn/resources/JHK

 

第1問が必答で、基礎的な内容や概念を問う問題。第2問も必答で、プログラミングの問題です。同一内容を、BASIC、COBOL、Pascalの3つの言語で出題しており、苦労の跡がしのばれます。

 

第3問・第4問が選択で、第3問が表計算ソフトの問題で、第4問が情報技術の応用力を問う問題です。報告書等には、第4問が工業高校向け、第3問がそれ以外、という位置付けだったと書かれています。

 

 

翌1998年には、プログラミングの3言語による出題はやめて、日本語による疑似コード、いわゆるDNCLのはしりでの出題になりました。

 

やがて選択問題も、プログラミングの問題と表計算ソフトの問題からの選択に変わりました。

 

 

こちらが当時の某大学の出題内容です。

 

第1問がMIL記号の回路図から論理式を構成する論理回路の問題、第2問が二進法の問題で、2の補数あたりまで出題されていました。第3問が二進法と十進の変換を題材としたプログラミングの問題で、この回はBASICで出題されていました。

 

第4問がサーバクライアント方式に関する問題、第5問が中央処理装置に関する問題です。当時は大体のパターンとして、論理回路や真理値表に関する問題、二進法やプログラミングに関する問題が中心で、プログラミングはBASICかフローチャートの形で出題されるという形でした。

 

 

1990年代に「情報」が入試に導入されたことの意義を、私なりに考えてみますと、まず大学入試センターは、学習指導要領が変わって、そこに新たに設置された教科・科目の高等学校段階での達成度をきちんと測ろうとしたのだと思います。

 

そして、いくつかの大学が「情報」を出題することで、「情報」が得意な学生を確保したい、というメッセージを出すことができました。

 

帝京大学のような大きい大学は、どちらかというと多様な学生に入学してもらいたいので、受験生が自分の得意な科目で勝負できる入試を行っていました。その流れの中で、「情報」が導入されたわけです。正直なところ、受験者数は多くはないですが、ロングテールを拾いたい、というところがあったと思います。

 

高校生にとっては、この当時は職業教育を主とする学科の生徒が対象でしたが、入試で「情報」が選択できることになった、という意義がありました。ただ、社会的にはあまりインパクトはなかった、というのが1990年代の情報入試だったということになります。

 

 

共通教科「情報」がスタート~多くの大学が入試から撤退したが、センター試験で出題し続けた意義は大きい

 

情報入試のその後の動きです。1995年あたりから現在に至るまで、学習指導要領の改訂が大体10年おきにあって、共通教科「情報」が2003年に始まり、学習指導要領の改訂ごとに科目と内容が変わっています。

 

大学入試では、1997年にセンター試験の数学②に「情報関係基礎」が入ってここまで来て、いよいよ来年、2025年から「情報I」が単独教科として始まるという状況です。

 

 

この辺りも皆さんご存じだと思いますが、2003年に共通教科「情報」が始まって、その卒業生が出る2006年あたりに「情報」を入試に導入しよう、という動きがあって、東京農工大や愛知教育大をはじめ、いくつかの大学が情報入試を始めました。

 

当時の情報処理学会の学会誌に、中森眞理雄先生と竹田尚彦先生が書かれた、2006/2007年に「情報」を入試に出題した大学に関する解説記事が載っています。ここにも帝京大学が出ていますが、帝京大学も含めて、ここに挙げられたいくつかの大学は、実は2006年からではなく、もっと前から「情報」を出題していました。

 

※クリックすると拡大します。

 

この頃、某大学では以前の職業高校の生徒を意識した出題から、共通教科「情報」が始まったので、それを意識した問題構成に変わりました。

 

具体的には、第1問が、情報に関しての基礎的な理解を問う小問題。第2問が、情報セキュリティなど、情報社会に関する知識や思考力を問うもの。第3問は情報の科学的な理解力や、論理的思考力など、情報関係基礎の第2問のミニ問題のような感じのもの。第4問がプログラミングで、DNCL準拠のプログラム表記で出題。第5問は表計算ソフトの問題で、情報処理技術者試験の表計算ソフトに近い独自仕様で出題。この5問から4問を選択する形になっていました。

 

 

その後の動きに戻りますと、帝京大学は、1990年代から総合型選抜と一般入試で、計12セットの問題を出題し続けるという、なかなか頑張ったことをしてきました。この間、いろいろな大学が情報入試から撤退し、実は帝京大学も総合型選抜のみの出題となってしまいました。しかし、ずっと続いていることが重要で、2025年度の入試からは、一般入試に「情報」が復活して、「情報Ⅰ」を出題することになりました。

 

そして、センター試験/共通テストの「情報関係基礎」も、受験生が少ない中で細々ながらずっと出題が続けられ、出題のノウハウが蓄積されてきたのは、非常に意義があることであると思います。

 

 

電通大の個別試験「情報」~電通大に入学する人に身に付けてきてほしい力を測る問題を

 

いよいよ電気通信大学も2025年度から情報入試が始まりますので、ここからは、こちらについて紹介したいと思います。

 

電通大の個別試験「情報」は、一般選抜の前期日程に導入されます。電通大にはⅠ類(情報系)、Ⅱ類(融合系)、Ⅲ類(理工系)の3つの類がありますが、その全てが対象です。

 

試験は、物理・化学・情報から2科目を選択し、試験会場で解答時に選択できることにする予定です。

情報の出題範囲は「情報Ⅰ」、配点は各100点で2科目選択なので合計200点。解答時間は60分を目安としています。目安というのは、120分で選択した2科目を解くので、時間配分は受験生ができるようにする、ということです。これも「予定」となっていますが、ほぼ決定と言ってよいと思います。

 

 出題範囲についてもう少し詳しくお話しします。「情報Ⅰ」全ての範囲となっていますが、「コンピュータとプログラミング」の分野と情報技術やデータを活用するための論理的思考力を問う問題を中心に出題する予定です。また、プログラミングの表記は、特定のプログラミング言語に依存しない表記で出題する予定です。

 

 

共通テストと個別試験の違いについてもお話ししておきます。

 

共通テストは、大学入試センターの出題方針にあるように、高等学校の段階の基礎的な学習の達成度の程度を判定することを目的としています。なので、これは私の個人的意見ですが、共通テストは、「情報Ⅰ」で学ぶ内容を、全体的にバランスよく評価する(したい)ということであると思います。

 

一方、個別試験は、例えば電通大であれば「情報Ⅰ」の中でも、電通大に入学する受験生に習得しておいてほしい力に重点を置いて評価することになり、その辺りで、出題の方針は当然違うことになります。また、本学は共通テストの「情報Ⅰ」も採用していますので、似たような試験をしても仕方ないわけです。同じ情報入試と言っても、共通テストと個別試験には、そういった濃淡があります。

 

 

電通大の試作問題

 

電通大では、昨年11月26日に試作問題を公開して、高校2年生に受験していただきました。

 

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試作問題の問題構成がこちらです。

 

第1問は、情報に関する知識と思考力を問う問題で、コンピューターネットワークを題材として、配点は20点。第2問が、情報技術やデータを活用するための論理的思考力を問うものですが、ここではデータそのものというより、情報技術を活用するための論理的思考力を問うということで、マス目に線を引くようなゲームを題材としました。ここが、配点40点です。

 

第3問は、数字の並べ替えを題材としたプログラミングの問題で、これも配点40点です。

 

※クリックすると拡大します。

 

この問題セットで大体のイメージを持っていただけるかな、と思いつつも、第1問のような問題は、これだけではまだ十分ではない、違う分野の出題例も示したい、ということで、今年7月のオープンキャンパスに合わせて「サンプル問題」を公開しました。

 

こちらは、このサンプル問題の表紙の文言です。「昨年11月の試作問題に引き続き、その文脈でとらえてほしいということで、ここでは2問のサンプル問題を公開します。配点20点の問題を想定して作成しました」ということです。

 

前回の第1問にあたるところで、浮動小数点数の問題と著作権の問題を公開して、こんな問題もアリなのだ、というイメージを広げてもらうようにしました。

 

 

このように、2025年度入試では、本学をはじめ、いろいろな大学が情報入試を開始します。共通テストにも「情報Ⅰ」が入るという大切な時期を迎えていますが、国立大学で再来年から「情報」を出題するという話が、現段階ではあまり聞こえてきません。これは、本学の受験結果などを見てから考えるのかなという、不安であったり、責任感だったりを感じつつ、準備を進めています。

 

 

2025年度入試からは、「情報」導入の意義が大きく変わる

 

入試への「情報」導入は、2024年、つまりこれから始まる2025年度入試の段階になると、意義も変わってきます。

 

大学入試センターでは、高等学校ですべての生徒が学ぶ「情報」の達成度を測ることができるようにした、という意義があります。

 

大学では、現在学習指導要領などで、情報活用能力が学習の基盤となる力として位置づけられていますが、共通テストで「情報」を採用することによって、そういった力を広く評価できるようになります。もちろん、情報が得意な学生に目指してもらい、確保できるという意義もあります。

 

そういった状況になると、高等学校での授業もこれまでより充実したものとなるので、全ての生徒が情報をしっかり学習できることになります。

 

さらに社会的に見ると、随分前から「情報という分野は大切だ」ということは認識されてはいましたが、大学入試に入ることが報道され、話題になることで、これまで関心のなかった人たちも含めて、改めて「情報」が重要な学問であることを理解するきっかけになると思います。

 

そして、これは期待も込めてということになりますが、国民全体の情報リテラシーや、問題解決力が向上するのではないかと思います。1980年代にカラオケボックスが出て、カラオケが身近になったことで日本人の歌唱力が上がったと言われましたが、同様に高校に「情報」が入ってきたことで、日本人の問題解決力が上がった、ということになるのを期待しています。

 

 

高等学校への期待~カリキュラム編成を工夫して、問題解決の経験をさせてほしい

 

高等学校への期待ということにつきまして。最近ある所で、情報科の先生方に研修をする機会があって、アンケートを取ったのですが、「情報」の授業の中で問題解決をされていないという先生がかなりいらっしゃいました。学習指導要領の解説編では、共通教科「情報」の目標として、「情報技術を活用して問題の発見・解決を行う学習活動を通して」情報の力を付ける、ということになっています。「通して」というのは、そういった活動しなければいけない、必須なのですよ、とお話ししたのですが、なかなか行われていない、という実態があるようです。

 

また、今は入試に注目が集まっていますが、あまり変な形で入試対策をしないでいただきたいと思います。社会に出て使える情報の力の素地をきちんと身に付けているから、入試でも高得点が取れる、というのが理想です。プログラミングの問題は解けるのに、プログラムを作ることはできない、といったことにはならないようにしていただきたいと思います。

 

そのためにも、カリキュラムや授業の内容には、独自の工夫をしていただきたいと思います。

 

 

カリキュラムについては、文部科学省の学習指導要領の説明の中で、「『学習指導要領』や、標準時間数等を踏まえ、地域や学校の実態に応じて編成する」とされており、学校の裁量で学習の順番を変えてもよいことになっています。

 

 

先ほどご紹介した雲雀丘学園高校の林先生は、「データの活用」を1学期に扱っています。これは、1学期にこの単元の成果物として統計グラフを作成し、それを夏休みの終わりまでに完成させて、統計グラフコンクールに応募するためです。

 

そして、3学期に「情報デザイン」を学ぶときに、この統計グラフを情報デザインの視点で改善するとともに、データの活用についてもさらに学びを深める、という授業設計になっています。

 

全国では、多くの先生方が工夫を凝らした質の高い授業をされていると思います。そういった実践がどんどん広がっていくことを期待しています。

 

 

電通大のCBTの概要

 

ここからは、電通大で行うCBTの概要をお話しします。今回は、電通大のⅠ類からⅢ類の3つの類の中で、Ⅰ類の総合型選抜と学校推薦型選抜で、スモールスタートで実施します。対象科目は「情報Ⅰ」と数学で、他に非認知能力テストもCBTで行います。

 

試験は、大学の演習室にセキュアな環境の会場を作って実施します。9月に総合型選抜が、トラブルなく無事終了しました。

 

電通大のCBTの特徴は、「国際標準に準拠したCBT」であることです。そのベースとなるのが、項目反応理論(IRT)を利用した「問題バンク」という方式です。このシステムは、大学入試センターと共同で開発したものです。

 

 

CBT活用についても、これから進めていきたいと考えています。電通大は、大学入試センター・佐賀大学・神田外語大学と「大学入学者選抜におけるCBT活用の推進に向けた連携協力に関する協定」を結び、8月21日にキックオフシンポジウムを開催しました。

 

こちらが、キックオフシンポジウムのポスターに載っていた各大学の取組の内容です。3大学とも、コンピュータを使った試験という点は共通ですが、内容は異なっています。

 

神田外語大は、新型コロナ禍のときに、自宅からでも受験可能な遠隔型CBTを行い、現在もニーズがあれば実施しています。佐賀大は、誤答した問題を再解答できる基礎学力学習力テストや、動画を用いた思考力のテストなど、コンピュータでないとできないような、新しいタイプの出題方式を検討しています。そして電通大は、国際標準に則って、IRTを用いた問題バンク方式の研究・開発です。連携して同じものをつくるというわけではなく、それぞれが独自のテーマに取り組んでいる、という感じです。

 

※クリックすると拡大します。

 

CBTのメリットと、導入に向けた課題

 

CBTのメリットには、自動採点が可能であること、データ分析がしやすいこと、IRTを使えば能力推定の精度が向上し、複数回の等質なテストが可能であることなどがあります。これらは、紙のテスト(PBT)でも可能です。

 

さらに、CBT独自の特徴として、受験者の特性に合わせたAdaptive Testingが可能であるため、受験時間を短縮することができ、また能力測定の精度が高い、ということがあります。ただ、入試の場合は、上位の人の成績を正確に測るよりも、合否ラインの精度が高いことの方が重要です。

 

さらに、動画や音声を使った新しいタイプの出題が可能なこと、現地に行かなくても遠隔で受験できることなどがあります。

 

 

先ほど申し上げたように、IRTを使ったテストは、CBTのシステムを使わなくても、PBTでも可能です。その意味で、従来の大学入試で出題されているような「一般的問題」をCBTに移行するにあたっては、一気にCBT化を進めるのではなく、間に「IRTによるPBT」という段階を挟んでもよいのではないか、と個人的には考えています。

 

大規模CBT導入の最大の課題は、受験環境をどのよう構築するか、ということであると思います。電通大も、総合型選抜であったからこそ、コンピュータ教室に入りきれる程度の人数に対してセキュアな環境を作ることができましたが、一般選抜の個別入試でCBTをすることになったら、とても収容できません。試験を何日かに分けて実施するのも現実的ではありませんし、試験で使う受験者用のデバイスをレンタルすることになれば、膨大なコストがかかります。

 

そうなると、海外の大学のように、あるいは神田外語大が取り組んでいるように、自分のデバイスで受験が可能、という仕組みを作らないといけませんが、これはいろいろな意味で大変です。これに比べれば、IRTをPBTで行うことは、それほど大変ではありません。

 

ただ、そうなると入試の公平性というものの考え方が、今までとは全く変わってきます。今までは、「全く同じ時間で、全く同じテストを解いたのだから、(たとえそれがどんな問題であっても)公平だ」という考え方で、日本人はそれに慣れきっています。IRTを入試で実施するとなれば、「テスト理論に裏打ちされた測定法で、たとえ出題される問題や、受験する日時が違っても、きちんと測定できるので公平なのだ」ということを、社会が受容するように仕向ければなりませんが、それはとても難しいことです。

 

そして、そもそも本当にIRTで入試を行うのがよいのか、という問題もあります。これまでの一般的な問題も併用して、基礎的部分についてはIRTで試験を行い、応用的な部分についてはこれまで蓄積された一般的な試験と併用する形で行ってもよいのではないか、という考え方もあると思います。

 

 

今後に向けて

 

このプロジェクトでは、一般的問題の作問の方法、CBTによる模擬試験、IRTによる出題など、様々な研究に取り組まれています。CBT独自の問題についても取り組まれており、これは本当に期待しかありません。

 

最後に、今回は、「情報」が対象になっていますが、今後いろいろな教科でも、IRTの検討や、従来からの一般的問題の結果などのデータを蓄積していくことが重要になってくると思います。このプロジェクトに大いに期待しています。

 

大学入試を中心とした情報分野の学力評価手法の検討シンポジウム2024 講演