なぜ子ども達はLINEにのめりこむのか
~SNSとかしこく付き合うために~
第1回 そもそもLINEとは何か?
■LINEというSNSをご存知でしょうか?
LINEは、iPhone・ Android、スマートフォンを中心とした携帯端末(PCも使用可)で、無料インターネット通話、チャットやスタンプを使ったリアルタイムにコミュニケーションを行なうもので、LINE(旧:NHN Japan)が提供しているサービスで、2011年6月にスタート。Facebookよりも早い「1年7ヶ月で1億人を突破」、その4ヶ月後には1億5千万人のユーザーを獲得。急成長しているSNS(social networking service)サービスです。
SNSというサービスは、使い方を間違えなければ、生活に安心や利益をもたらすことに繋がるのですが、その使い方/仕組みを逆手に取って利用する、もしくは知らない間にそのように使ってしまった、等によって、不利益を生み出してしまうのもこのサービスの特徴です。
特に若年層に利用者が多いのがこのLINEの特筆する点の1つで、そのため若者(未成年者)が、このサービスを使った犯罪被害に巻き込まれるケースも発生するようになり、学校関係者でもLINEの勉強会を保護者と共に開くなどの取り組みを始めています。しかし、LINEが無かった親(PC世代)と、LINEがある子ども(スマホ世代)互いの世代でギャップがあるために、簡単に誰でも理解できるものでもありません。
そこで今回から数回に渡り、LINEの成り立ち~仕組みを分りやすく説明することで、どういうことが出来るのか?どういう事が起きてしまうのか?なぜこういう事が起きるのか?を説明、スマホ世代の利用方法を理解することで、SNS利用の健全利用を思案できるような情報提供を行いたいと思います。
■LINEは何が他のSNSと違うのか?
LINEは、Mixiやツイッター、FacebookなどのSNSの1つのサービスですが、他のSNSと大きく違う点があります。それは、LINEのサービスがスマートフォンを中心とした携帯端末が中心であること。
前述したSNSの利用機器はパソコンが中心となっていますが、LINE利用者の利用機器のほとんどがスマートフォンであることが下記のデータから分ります。
◆LINEを利用する際に最もよく利用する機器は <男性>
◆LINEを利用する際に最もよく利用する機器は <女性>
出典:ジャストシステム社:モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査(2013年3月度)
■なぜLINEだけがスマートフォン中心なのか?
その理由は、LINEの提供したサービス内容の中心が「無料通話」「無料メール」といった携帯端末で利用するサービスものに特化していたからです。また、現在のLINEはパソコンでも利用できるようになっていますが、サービスを開始した当初は携帯端末に利用が限られていたことが、より携帯端末、スマートフォンの利用者の割合を増やした理由であるといえるでしょう。
■LINEはなぜこれほどの普及をとげたのか?
そして、LINEがスタートした2011年6月。その3ヶ月前には東日本大震災が発生し、家族/友人との繋がりが再認識されSNSを利用するユーザーが増えました。パソコンは家庭に一台というイメージですが、携帯電話/スマートフォンは家族1人1人に一台。高校生から携帯電話デビューと考えれば、家族も含めて利用しやすい、スマートフォン中心のLINEが選択されやすかったと考えます。
また、その当時、LINE以外のものでスマートフォンを中心としたコミュニケーションツールは、ゲームを中心としたグリーやモバゲーといったサービスであり、一般の利用者には参加するにはハードルが高く、まだまだ一部のヘビーユーザーのものでした。
当時のスマホは、ガラケー(※1)と違い「絵文字」「顔文字」などのサービスに対応していなかった。このサービスは日本独特のものであったため、iPhoneやAndroidでは対応していなかった。そのため、SMS(※2)や携帯メールはテキストでシンプルなものしか送信できないため、これを理由にガラケーからスマホに機種変更しなかったユーザーも多かったのです。
※1 フィーチャー・フォン。携帯電話の端末のうち、スマホではないものを指す。
※2 ショートメッセージサービス。携帯電話やPHS同士で短いテキスト(文章)を送受信するサービス。
ブラウンやコニーを始めとするLINEスタンプ(※3)は、この絵文字や顔文字を補うものとして一般のユーザーにも受け入れられることもLINEが選択されるようになったと考えられます。この絵文字/顔文字を使う年代が、若年層に多くこのスタンプのやり取りをするには、同じサービスを使う必要があるため、先に利用している友達からLINEを薦められ、そのまま利用する。結果それが若年層から支持されることになる大きな理由の1つであると考えられます。
※3 ラインスタンプの紹介 http://campaign.naver.com/linesticker/ja
●執筆:ノブ横地
ホームページ制作/システム開発を通して、三重県認定のエキスパート講師として活躍。主催するセミナー「本気でやる本業を支えるソーシャルメディアのビジネス活用」を通して、全国のユーザーと交流。近年はソーシャルメディアのプロとして、全国の官公庁、商工会・商工会議所、各種団体などで、幅広く講演活動を実施。著書『ソーシャルメディアの流儀』(ブランポート出版局)。