なぜ子ども達はLINEにのめりこむのか
~SNSとかしこく付き合うために~
第3回 LINEユーザーが増えたのは、LINE独自のつながる仕組み
LINEの公式ブログによれば、7月21日にユーザー数が世界で2億人を突破しました。2013年1月に1億人突破が発表されてから、たった半年で1億人増加しています。
http://lineblog.naver.jp/archives/29842167.html
この記事には、「国内では、約3人に1人もの皆さんが日常的に利用する連絡手段として」と書かれており、日本国内でのLINE利用率の高さが改めてわかると思います。
別の調査でも、LINEの利用度の高さがうかがえます。
◆スマートフォンからのサービス利用状況 リサーチTOP5 年代別
(アプリ利用、およびWebサイト訪問の合算)
10代 |
利用率 |
20代 |
利用率 |
LINE |
90% |
Google検索 |
84% |
Google検索 |
85% |
LINE |
77% |
Google地図 |
79% |
Google地図 |
68% |
アメブロ |
73% |
アメブロ |
61% |
livedoorブログ |
68% |
楽天市場 |
59% |
30代 |
利用率 |
40代 |
利用率 |
Google検索 |
79% |
Google検索 |
79% |
Google Play |
63% |
Google Play |
66% |
LINE |
61% |
楽天市場 |
62% |
楽天市場 |
60% |
Google地図 |
57% |
Google地図 |
57% |
LINE |
51% |
50代 |
利用率 |
60代 |
利用率 |
Google検索 |
76% |
Google検索 |
72% |
Google Play |
66% |
Google Play |
56% |
楽天市場 |
60% |
楽天市場 |
56% |
Google地図 |
59% |
Google地図 |
50% |
LINE |
46% |
Yahoo!ニュース |
37% |
スマートフォンの利用者属性別のサービス利用状況調査(ニールセン、2013年5月)
http://www.netratings.co.jp/news_release/2013/05/20130528.html
※本調査は18歳以上を対象としており、本分析の10代は18-19歳を指す
LINEのユーザーが増えたのは、スマホ利用者が増えたという背景もありますが、仕組み自体にも利用者を増やす仕掛けがあったことにもよります。
■LINEのユーザー獲得の仕組み:スマホベースのSNS
LINEはスマホベースのSNSです。あなたと四六時中一緒にいますので、何かあればすぐチェックできます。スマホの画面上にあるLINEのアイコンに着信の数字が付いていたら、思わず見てしまうというのも、利用者が止められなくなる理由の一つです。
また、携帯メールで多くの人が悩まされた、スパムメール問題がLINEには少なかったこと、メールのよりも簡単に返事ができるような仕組み(それこそ、スタンプ1つですませられること)も、LINEが面白いと感じるユーザーが多いということもあります。
■LINEのユーザー獲得の仕組み:電話帳の存在、既読表示
LINEが始まった当初は、無料通話を一番の売りとしてテレビコマーシャルなどをしていました。LINEのアプリをスマホにインストール/登録すると、そのスマホに入っている「電話帳」を利用して、LINEをしている友達とLINE上でつながる仕組みを自動的に行なっていました(現在は利用者の選択となっています)。
電話帳に知り合いの電話番号が登録されていて、その人がLINEをしていたり、始めたりすると、「友達」としてあなたのLINEに自動登録されてしまいました。そうして、勝手に「友達」が増えてしまうのです。
ツイッターやFacebookは、勝手に知り合いが増えるということはありません。おすすめユーザーとして、友達になりそうな人や興味がありそうな人を紹介する機能はありますが、自動的に知り合いを増やしていくということはありません。
今までは、「自分から探さないと知人とつながらなかった」のが、LINEは「相手があなたを見つけてくれる」という機能によって、LINEを使わせてしまうような状況になったわけです。
LINEには「既読」という表示があり、送ったメッセージが相手に開封されたかどうかを自動的に教えてくれます。電子メールにも、相手がメールを開封した時に「開封済み」のメッセージを返信させる機能はありますが、設定する必要がありました。しかし、もっと簡単に、相手が読んでくれたかどうかを知る機能が欲しいと思っていた利用者も多かったと思います。この「既読」機能もLINEを利用しようとさせる理由の一つと言えるでしょう。
しかし、一方で「既読」になっていても相手から返信がないことを不安に思う「既読ストレス」という新しい問題も生まれています。
■つながりやすさが、トラブルとならないために
つながりやすい機能をもったLINE。それゆえ、トラブルも起きそうです。だから、LINE自身も「LINE安心安全ガイド」というページをサイト上に設け、トラブルに会わないための情報発信を発信しています。
http://line.naver.jp/safety/ja/
このサイトでは、「LINEで知らない人とつながったり、実際に出会ったりするようなことは絶対にしないでください。」と呼びかけています。
そして、危険な人の特徴を挙げて、「そんな人がLINEのトーク(メール)で話しかけてきたら、すぐにブロックしよう」と、ブロックの方法を提示。また、
・LINE IDを知らない人と交換しない
・LINE IDをインターネットに書かない
・個人情報や連絡先が分かる情報を教えない
・知らない人から友だち追加されないようにLINEを設定する
と身を守る方法を提示。もし迷惑メールが届いたら、「すみやかにトークを削除して、相手をブロックまたは通報してください。」と「通報」の機能を紹介しています。
●執筆:ノブ横地
ホームページ制作/システム開発を通して、三重県認定のエキスパート講師として活躍。主催するセミナー「本気でやる本業を支えるソーシャルメディアのビジネス活用」を通して、全国のユーザーと交流。近年はソーシャルメディアのプロとして、全国の官公庁、商工会・商工会議所、各種団体などで、幅広く講演活動を実施。著書『ソーシャルメディアの流儀』(ブランポート出版局)。