New Education Expo2016

となりの学校ではICT活用どうしてる、何してる

羽衣学園高等学校 米田謙三先生

<実践報告>

鎌倉学園高等学校 小林勇輔先生

山梨英和中学校・高等学校 近藤美和先生

佐野日大中等教育学校 ICT教育推進室室長 安藤昇先生

このセミナーは「となりの学校ではICT活用どうしてる、何してる」というシリーズで行っています。今日はまず私からセミナーの趣旨をご説明して、小林先生、近藤先生、安藤先生の順で事例発表をしていただきます。3人の先生にお話しの後に、少し補足説明とまとめをさせていただきます。本校の取り組みについては、主にレジュメをご覧いただければと思います。

まず、現在の高校の状況についてお話します。今年の高校1年生は2000年生まれです。0歳の時にもうiモードがあって、4歳はMixiとかブログがはやっている年代です。小学校に入ってすぐの8才の時にiPhoneが出て、Facebookという1対大勢のコミュニケーションがすぐ身近になりました。そして小学校6年生でLINEとTwitterが流行し始めました。こういう世代であるということを、われわれの方も知っておかないといけません。

 

 

今日の本題です。ICTの利活用を考える時には教育手法、教員の活用指導力、そして環境整備という3つの課題は必ず考えておかなければなりませんが、高校になると、このあたりがけっこう混在した状態になってしまいます。これを全て一人で抱えている先生は大変です。環境整備も、先生方の研修もしなければいけないとなると、教育手法をじっくり考えるところまでとても手が回りません。それなら、この3つの課題でどこがポイントなのかということを押さえていきます。

 

上図の赤字のところをご覧ください。教育方法の部分で言うと、従来の教育手法や教材・教具との使い分けです。例えばタブレットや電子黒板と体験学習などですね。遠隔教育や反転授業などもこれにあたります。 

このように、ICTの特徴を生かしてどのような効果的な活動ができるのか。そして、それらをどういった状況や場面で活用すると効果的なのかを考える。そして、指導力の向上というのは、いかに組織的に行うかとか、ICT環境の整備ということも視野に入れていくべきなのですね。

上図が学校現場、特に高校のICTを取り巻く環境変化に関するトピックスをまとめたものです。さきほどの3つの課題を当てはめていくと、まずICT活用は上段の「教員のICT活用」と「生徒のICT活用」に分かれます。教員のICT活用という点では生徒と向き合う時間を増やすために、校務処理、会議時間の短縮など、効率化がキーワードになっています。授業の効率化というのが、デジタル教科書やデジタル教材です。最後に評価、これも大事ですね。

 

一方、生徒の方のICT活用は学習活動の定着を目指すものですが、特に高校では「本当に学力向上に結びつくのか」というところがキーになります。その中で、一斉・個別・協働という3つの学習スタイルをいかに使い分けるかが重要です。そこでの学習方法としては、反転学習やジグソー法、最近よく言われるアクティブラーニングなどいろいろな手法がありますが、そのあたりをどのように取り入れるか。さらに、それによって探求、創造、定着を図るのですが、その中でいちばん大事な「定着」のためには、インプットをきちんとすることが肝要です。アクティブラーニングと言うと、どうしてもアウトプットに目がいってしまいます。私はメインの担当が英語ですが、英語も確実にインプットしないと、アウトプットはできません。そうして身に付けたことがグローバルにつながっていくのです。

 

上図の下の段は環境整備に関することです。今問題になっているのは、普通教室でのICT活用をどのように行うかということで、そのポイントは安全・安心・安定の3つです。

 

具体的には、ハード面で言えばタブレット、電子黒板、プロジェクター、実物投影機などですね。タブレットは今BYOD(Bring Your Own Device)、すなわち自分のデバイスを持ってくるという方向に動いている学校がかなり多いですが、このあたりがどうなっていくか。一方で電子黒板やプロジェクターにどういうものを映すかということも問題になります。さらに無線LANについては、2020年までに学校に全部Wi-Fiを入れるという動きがあり、そこの予算をどうつけるか、という動きもいろいろあります。

 

下段の右側、「学校現場に合ったICTサービス」というのは、現場が導入しやすく使いやすいシステムが大事だということです。ここにはICT支援員によるサポートや先生方の研修も含まれます。そして今課題になっているのが、地域・家庭といかに連携するか、ということです。例えば、進研模試は今、全部デジタル化しており、保護者にIDとパスワードを配って、保護者が自分のスマホから自分の子どもの模試の結果が全部見られるようになっています。さらにこれが、子どもが受けた全ての試験結果にひもづいてしまうので、模試だけでなくGTECという英語の試験まで全て一覧できます。生徒からしたら鬼ですよね(笑)。そういう時代なのです。

 

それでは、これから先生方に実践報告をしていただきます。今日は、安藤先生がMicrosoft、小林先生がGoogle、近藤先生がiPadとそれぞれ異なるリソースを使って授業の工夫をされています。実際の授業でどのようにICTを使っているのか、特にICTにしかできないテーマとはどんなものなのか、お話していただきます。

 

<実践報告>

Google Classroomを活用し、個に応じた学びの環境を実現

鎌倉学園高等学校 小林勇輔先生

iPadをフル活用して課題探求・グローバル教育の可能性を広げる

山梨英和中学校・高等学校 近藤美和先生

徹底したインフラ構築とオープンソースのシステムとで、ICT利活用の理想郷を作る

佐野日大中等教育学校 ICT教育推進室室長 安藤昇先生

 

<まとめ・質疑応答>

羽衣学園高等学校 米田謙三先生

 

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